第21章 それが、彼の償い

◆ミドルシーン2 〜テラストを覆う闇〜
GM:レセリアと名乗る女性と同行してから数時間。
今、君達はテラストの首都が視界に移るほどの場所までやってきていた。
ここ三日間ずっと歩き続けていた為、しばしの休息のために足を休ませている君達…
と言うよりイオスの傍に、先程のレセリアと名乗る女性が来て、話しかけてきます。
「…君、イオス=ヴァルムオンドだね?」

イオス:「そうだ」 警戒はする。

GM(レセリア):「…数日前にテラスト王城を壊滅させた大逆人…そうだな?」

イオス:「そういうことになっているな」

GM(レセリア):「他人事みたいな口ぶりだな」
君の素っ気無い返しに困ったような表情を浮かべるレセリアだが、やがてその表情が真剣なものとなる
「…一つ聞きたい。君は自分が奪った命をどう思っているんだ?」

イオス:「そうだな…。俺の奪った命はそれぞれが唯一無二のものだ。
失われたものは二度と戻ってはこない。ただ、俺の罪となって生涯俺を苛み続けるだろう。
この世に許されることなど何一つ無い…」

GM(レセリア):「罪を背負って生きる。…確かにそうだな」
そこまで聞きレセリアは改めてイオスの方へ真っ直ぐ視線を向ける。
「君はその覚悟を持っていると言う事か?」

イオス:「何かを背負う覚悟ならとうの昔にできている。こんな使い方をしたかったわけではないがな」

GM(レセリア):「…そうか。」
君の言葉の重みをレセリアは受け止めた。やがて、しばらくの沈黙の後。
「…イオス。君はフロ―――」 とレセリアが言いかけた瞬間。

“ごおおおおおおぉぉぉん!!!!”

その瞬間、イオスたちは地面が揺れるのを感じた。

GM:見ると眼前のテラスト王国の上空にはいつか見た無数の黒い影が!
その黒い影は眼下のテラストへと降り立ち、あちらこちらで虐殺行為を行なっているのが見える。
兵士達は戦っているが明らかに防戦一方なのも確認できる。

イオス:「くっ!」 その方向に向かって走り出す。

GM(レセリア):「―――!イオスっ!」
レセリアはその君の行動に少し驚いたように声を上げる。

セレナス:一目散に向かいます(笑)

リザベラ:同じく疾走。

GM(レセリア):「…私はこちらの娘と共に安全な場所に避難しておく!
後からお前達と合流するからな!イオスっ!」
と彼女は走っていく君達へそう声をかける。

そして、一目散にテラスト王国の首都へと入るイオス達。
そこはすでに魔族達が蹂躙する阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。
無数に空を覆う魔族。焼かれ倒れていく家々。切り伏せられ、血を流す人々。

GM(魔族):「くっはっはっはっ!まったくこの国の兵士は屑ばかりですね。ねぇ〜…?」
眼前で倒れる兵士に向け手に持った鎌を振り下ろそうとする魔族。
兵士は怯え恐怖し「ひ、ひ!た、助け…!助け…!」と懇願している。

イオス:そこのル=ヴァルみたいな喋り方をする奴とかぶった斬るぞ。

リザベラ:「こんなことしている場合ではないが……助けねばあるまい」 一閃+周破斬。

GM(魔族):「…むっ!」
君の放った一閃の衝撃破。だがしかし魔族はその一撃を腕を払う動作だけで防いだ。
「(ル=○○○風ボイスで)ほお…やりますね、貴方。只者ではありませんね?」

リザベラ:「止めるか……やるな」

GM(オールバックな魔族):「しかし、相手が悪かったですね。貴方達では私には勝てませんよ?」

セレナス:オールバック(笑)

リザベラ:ルか。

GM(オールバック):「そんな一文字キャラと一緒にしないで頂きたいですね」

イオス:やばい、こいつおそらく尻を狙ってくる!

GM(オールバック):「きえええええぇぇッ!!!」
刹那!オールバックの魔族の口から怪光線が放たれ!君達の周囲ごと焼き払う!

セレナス:脳内でルに変換されてえらいことに(笑)

リザベラ:物理?魔法?

GM(オールバック):「そらそら、逃げ場はありませんよ。
魔法に決まってますよ。何を言っているんですか、貴方は」

リザベラ:「くっ」 魔法、キライ。

GM(オールバック):「ふははははっ!テラストとは言えこの程度かっ!!
これほどの軍勢を従える必要もなかったわっ!!さあ、とどめだ!
くらえっ!!我が最強の究極奥―――」

セレナス:「くっ、叔父さんさえいたならこんな事にはならないんだっ……!
テラストの勇猛な騎士団を馬鹿に、するなっ!」絶斧持って突っ込みます(笑)

GM(オールバック):「なッ?!わ、私の力がかき消されていくぅ?!な、何だその武器はぁぁ!!
や、やめろっ!く、くるな!!くるなああああああぁぁ!!!」

セレナス:「いかがわしいものに修正を加える神器の力を受けろおおおおおぉぉ!!!」

セレナスの絶斧による一撃は目の前のオールバック魔族の身体を切り裂いた。
そして、倒れるオールバック魔族は最後にこう一言を残した。

「是非も無し」

ばたん。

セレナス:ちょおおお(笑)

GM(魔族共):「ひえええ!将軍がやられたー!に、逃げろ――!!」

イオス:「どいつもこいつもやかましい…焼き祓え」
残りの魔族に向かって白炎をぶち込むぞ。

GM:そのイオスの一撃により、周りに存在した魔族共が一気に燃え、あるいは逃げていく。

この後、イオス、フィリア、セレナス達の活躍により魔族達を蹴散らし
テラスト王国を蹂躙していた魔族の影は消えた。

セレナス:やったネ!

GM:しかし、そんな君たちを迎えたのは…“がしゃんがしゃん!”と槍を構えた兵士達の姿。

リザベラ:予想はしてた!

GM(兵士):「…イオス=ヴァルムオンドだな」

イオス:「そうだが、貴様らにつきあっている時間は無い」

セレナス:「…グラングーレ家家長の名に置いて命ずる、その槍を今すぐどけろ!」

GM(兵士):「?!グラングーレ!」 その名を聞いて、取り囲んでいた兵士達が槍を下げようとするが…
「槍はそのままにしろ。兵士達よ。」
威厳のある、いつか聞いた声がその場に届く。

セレナス:おーさま?!

GM:そう、それはテラスト王国国王・ジルナウスU世だった。「…イオス」

イオス:「お久しぶりです陛下」

GM:国王は静かに君を見ている。
「なぜ戻った……いや、なぜこの国を助けたのだ?」

イオス:「たまたま通り道だっただけです。
私は誰かを救ったり、誰かを守ったりできるような崇高な人間ではありません。
ただ、私が魔族を殺した結果、誰かが死ななくて済むのなら、それは良いことだとは思いましたが」

GM(国王):「…それがお前の償いか?」
国王は真剣な眼差しで君を見る。

イオス:「この身一つで償えるような安い命を背負った覚えはありません」

GM(国王):「………」
しばらく何を考えるように国王は君を見る、しかし次の瞬間。
「ふざけないでよっ!この人殺しっ!!」 と一人の女性の声が響く。
見るとそこにはフローリアによく似た外見の高貴な衣装を纏った一人の女性の姿があった。
「…エリィ」 と国王はその女性の名を呼ぶ。
「妹は…フローリアはあんたに殺された。愛していたあんたに!」

イオス:「確かに、彼女の命を奪ったのはこの腕で間違いありません」

GM(エリィ):「…もしもアンタの言う償いが少しでもあるなら。今、この場で死んでよ」
エリィと呼ばれた王女は冷徹にそうハッキリと宣言する。
「待て、エリィ」 しかし、そのエリィの発言に国王が制止をかける。
「…イオス、そしてその周りの者達よお前達をこれよりお前の犯した罪、そして償うべき方法を
明確にする為にも裁判に立ち会って欲しい。そこでお前の全ての罪の責任を決めよう」

リザベラ:「そんな暇はない。国王よ。この大陸で何が起きているのか、理解しているのか?」

GM(国王):「だからこそだ」 国王は断言し続ける。
「イオス=ヴァルムオンド。お前に対する我が国での決定をここで明確に決定する。
そうすれば我が国における迷いは消え、エリィにしろ兵や民達もそれで納得をし
今のような不安定な状態も消え、魔族達に対して迷いなく戦うことができるであろう」

イオス:「そうですか」

GM:君のその言葉を了承と受け取り、国王は静かに歩き出す。
それは君達を先導するように、かつてここで起こった悪夢の元凶。
その存在に対する罪と償い。それを明確にするために。

「では、はじめよう。お前と我が国との最後の決着を」


◆ミドルシーン3 〜それが、彼の償い〜
テラスト王国美術館にて行なわれる裁判。
そこでは国王・ジルナウスU世をはじめ王国第二王女・エリィや王国中の重臣、兵士、民達
様々な人物が集結していた。
そして、その中心に立つのはイオス・フィリア・セレナス。

GM:裁判が始まって開口一番、エリィ王女が裁判官へ宣言する。
「死刑を。彼にはそれ以外の償いはありません」
と冷酷な意見を宣言する。それに賛同する者もこの場に少なくはないが同時に
「…だが、彼らは自分達がこうなることをわかって俺達を助けてくれた。
それに以前テラスト王城が崩壊したあれは彼が望んでした事では……」
と周りからはそんな声をあげる兵士もまたいる。

イオス:そんな奴もいるのか。

リザベラ:兵士…。

イオス:ありがとう名も無き兵士とプレイヤーからお礼を言っておこう。

GM(エリィ):「それがそいつの計算なんですよっ!薄汚い情に訴える!吐き気がするっ!!」
しかし、エリィはさらに罵倒(笑)

リザベラ:姉キッツいな。

セレナス:ナ、ナンダッテー

GM(裁判官):「…イオス=ヴァルムオンドに隣りの二人よ。何か弁明は?」
裁判官は静かに状況を見て、君たちの意見を聞こうとする。

リザベラ:ここはやっぱイオスが最初だろう。
だからイオスがなんか言うまでワタシは待ってるよー

イオス:「情に訴えるくらいならば、一暴れして逃げた方が遥かに楽です。それを行う意味が無い」

GM(エリィ):「ふんっ、そんなの何とでも言える言い訳に過ぎないわ」

イオス:「エリィ王女、私がここで死んだとして、あなたはそれで私を許しますか?」

GM(エリィ):「ええ、私もフローリアもそれをこそ望むわ」

イオス:「そうですか、お優しい方で何よりです。
では私が死んだとして、あなたはフローリア王女に何と言ってさしあげますか?」

GM(エリィ):「っ!そ、そんなのは言う必要なんかないわっ!
貴方が死ねばそれで全て終わるのだからっ!」

リザベラ:「イオスが死んで、お前が笑って……ではその後は?
ベッドの上で泣くのか? そして魔族に蹂躙されるのか?」

GM(エリィ):「そ、その後の事なんか…!」 その先を言おうとしてエリィは口ごもる。

リザベラ:「それとも……世を儚んで死ぬか」

GM(エリィ):「………ッ」

リザベラ:「どちらにせよ、一時限り。貴女は民を見捨てて終わりだ」

セレナス:「大丈夫、騎士は決して王族を見捨てたりなんてしませんよ。
最後の一人になってさえ貴方方をお守りします(にっこり)」

GM:エリィは君達に対しただその憎悪を宿した鋭い目つきで睨むことだけをし
これ以上話すことはしようとはしない。
それと打って変わり、それまで沈黙を保っていた国王がその重い口を開き問う。
「…一つ聞きたい、イオスよ」

イオス:「なんなりと」

GM(国王):「お前は、フローリアはその手で殺し…何を思った?」

イオス:「言葉に言い表せぬ後悔。
あの時、私の力があと少しあれば、刻印の暴走を押さえ込めたかもしれない。
あの時、自分の腕を切り落とせていれば、刻印は発動しなかったかもしれない。
あのとき数歩歩き窓から身を投げていれば、フローリア王女は助かったかもしれない。
失ったものは二度と戻らないと知りながらも、そう思わずにはいられませんでした」

GM(国王):「……そうか」
国王は君のその言葉に対しただ一言を返した。だがそれに対し再びエリィが
「それがなんだって言うのこいつに償いなんてできるわ―――」

そう言いかけたエリィの言葉をその瞬間、この場に現れた者の声が遮る。

「いいえ。彼はすでに償いを見つけているわ」

GM:声のした方を振り返ると、この場に扉を開けて出てくるレセリアとセクエンツィア。

イオス:やっぱりか。

リザベラ:待ってたぞ。

GM(国王):「お前は…!」 そして、レセリアの姿を見た国王は驚愕の表情を浮かべる。
「第一王女・レセリア=シルフィレーナ。ただいま帰還しました、お父様」
そうハッキリと宣告し、レセリアは君達と裁判官達の間に入る。
「彼は痛みを背負い、自ら苦しむ罪を背負い、それでも償いを果たそうと戦っています。
だからこそ、彼の傍には…仲間がいます」
レセリアはフィリア・セレナス・そしてセクエンツィアを見てそう言う。
「…君の剣に納まっている宝石、フローリアがあげたやつよね。イオス君」
とレセリアはイオスが下げていた刀に目を向け、そう問う。

イオス:「はい。幼き日、フローリア王女より譲り受けた物です」

GM(レセリア):「ずっと持っていてくれたのね、ありがとう」
そう礼を言い、レセリアは国王に向き直る。
「父上。今や魔族と死の王に対抗するには彼らという希望の力を除いては他にはありません」
そのレセリアの言葉に意を決した王が口を開く。
「イオスよ。お前に覚悟はあるのか。全てを背負うその覚悟が」

イオス:「はい、既に」

GM:その君の言葉を受け国王は静かに頷く。
「ならば、お前の裁きはもうすでに決した。裁判官よ」
国王のその想いと同じく、この場にいた全員がイオスのレセリアの言葉を信じ
それに対する結論を裁判官は告げる。
「イオス=ヴァルムオンド。お前への犯した罪への裁き。
それはこのテラストを――いや、この大陸を救う事により、その罪への償いと致す。
その身を持って、かつてお前が奪った以上の命を救うがいい」

イオス:「しかと承りました」

GM:満場一致。この場に集まったすべての者が納得したかに見えたその時、しかし、この判決に
一人だけ反対の声を上げる者がいた。
「ふざけないでっ!死刑よ!!殺すのよっ!!そんな奴、死ねばいいのよッ!!」
イオスを指して、叫ぶエリィ。しかし、それを見ていたレセリアはただ静かに言葉を放つ。

「もうそこまでにしたらエリィ―――いえ、魔族」

と、エリィを指してその単語を告げる。

セレナス:ぎゃー?!

リザベラ:こっちか!

イオス:何ぃ!

GM(エリィ):「…?!な、なにを…」
レセリアのその発言に僅かに同様を見せるエリィ。
そうしてそのエリィの反応を見逃さずレセリアは続ける。
「ここに来る前に報告を聞いたの。貴方が嫁いだ先の公爵家の地下で
“貴方の死体”が確認されたわ。お芝居は、そこまでよ」

リザベラ:そもそもこいつ嫁いでたんだ。

GM:そのレセリアの言葉に不意に雰囲気が変わるエリィ王女。やがて―――
「ふ、ふはははは…」
その雰囲気が変わっていく。
「はははははっ!頭の悪い奴らばかりかと思ったんだけど、そうでもなかったみたいだね!」
言ってエリィの姿は―――ペレリウスへと変わる。

イオス:「何だ、お前だったのか。
エリィ王女に俺の命を背負わせるわけにはいかないと思っていたんだが、いらん心労だったようだ」

GM(ペレリウス):「僕としても君たち人間同士で殺しあった方が早かったんだけど…
うまくいかなったね〜」

リザベラ:「上手く行くはずもない。癇癪お姫様に化けたのが間違いだ」

GM(ペレリウス):「みたいだね〜。
まあ、こうなった以上は仕方ないから、僕自身が手を下すまでだよ…」
そう言ってペレリウスは君達の眼前へと降り立ってくる。
それに反応するように周りにいた兵士達は全員槍を構えて戦闘体勢を取る!

リザベラ:「兵士たちは手をだすな!国王陛下、及びレセリア王女の避難を優先させろ!」

GM(兵士):「!了解しました!」
フィリアのその発言に従うように兵士達は国王とレセリア王女の身を確保し入り口へと向かう。。

セレナス:「ここで会ったが何日目!お前は絶対に倒す!!」

リザベラ:眼帯を取って剣を抜くよ。

GM:一方、ペレリウスは君達を見下すように見ているだけだ。
「…一つ教えてあげるよ」 呟き、その瞬間彼の右目に深淵の如き闇が生まれ始める。
「僕の力の前ではいかなる実力も、人間も関係無い。
君達は―――自分自身の想像で死ぬ」

セレナス:うーんうーん…食い意地汚い母さんが見えるよ〜。

リザベラ:そっち?!

GM(ペレリウス):「それじゃあ、さようなら。イオス=ヴァルムオンド。
それに脆弱な騎士君。ああ、あとそっちの女も」

そう宣告すると同時にペレリウスの隠れた右目から生まれた深き闇が全てを包み
それを見た瞬間、その場にいた全ての者達の意識は――途絶えた。


 
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