第2章 廻り始めた運命

GM:と言うことでシーンを再びメドウ君へと戻します。
これでOPは終了いたしますので(笑)。

メドウ:はーい、了解ですー(笑)。

◆シーンプレイヤー・メドウOP2◆ 廻り始めた運命
GM:あのルグワ遺跡での重要物入手の任務を終えて一年。
時折あの箱の中にあったものが脳裏にかすめる事はあったが
現在、君はエデン最高幹部補佐官という確かな地位と能力を持つまで成長していた。

メドウ:憧れのスペンサーさんの補佐、ですか。

GM:ですね(笑)。

メドウ:おおっ!任命された時は喜んだろうなぁ(笑)。
今の自分に満足はせず、少しでも憧れのスペンサーさんに近づけるように
毎日訓練の積み重ねをしています(笑)!

GM:で貴方は今、作戦会議室にて、そのスペンサーさんと一緒にいます(笑)。
この時、スペンサーさんにしては珍しく緊急の呼び出しだったね。
しかもこの会議にはいつも君の隣りにいた、あのシアの姿も無い。

メドウ:すぐ来てくれ、との事だったけど…何か不味い事でもあったのかな。と思いつつ
スペンサーさん、緊急との事でしたが一体何が起こったんですか?と聞きます。

GM(スペンサー):「ああ、これから話す事は君にもショックだろうが。どうか聞いて欲しい。」
そう言うと彼は真剣な眼差しでそれを話す。
「つい先刻、ウェルファス=ワールグースがエデンにおいて謀反行為を行なった。」

メドウ:「なっ…師匠が?!」

GM(スペンサー):「それだけでなく、彼の攻撃により数十という死傷者。
さらには参謀・シュヴァルスト様までも傷を負って倒れられた」

メドウ:「なんて事だ…。シ、シアは今どうしてるんですか?」

GM(スペンサー):「…分からないんだ」 彼はすまなそうにそう首を振る。
「シア君とはウェルファスの謀反直後から連絡が取れなくなっている」

メドウ:「まさかシアが謀反に協力するはず無い…。
師匠だって…何か考えがあっての事なのかも知れないけど、あんまりだ…!」歯を食いしばって呟く。

GM(スペンサー):「ショックなのは分かる…だが……。」
そこでスペンサーは今まで以上に深刻な表情で言葉を続ける。
「メドウ。今夜、私の部屋へ来てもらえないか」

実に誤解を招きやすい発言である。

一同:きゃー(笑)。

メドウ:「了解しました」 いかがわしい事とかはまったく考えずに、即答します(笑)。

GM(スペンサー):「これは君を信頼して話す重大な事だ。
下手な場所では情報が漏れる恐れもある配慮だ。
私の考えが正しければ…恐らく、ウェルファスは……いや。
とにかく今は私も事件の処理でこの場はこれで引き上げる。夜に全てを話そう――」
そう彼はこの件に対しての話しを切り上げる。

メドウ:礼をし、失礼しました。と部屋を出ます。部屋を出た後で考えながら歩きます。
スペンサーさんの考えが正しければ…師匠は何をしようとしているんだろう。
それにシアは今どこに行ってるんだ…こんな大変な時に…焦りを隠せない。

GM:そんな焦りが君を支配した――。

※     ※     ※

GM:そして夜。君は約束通り、スペンサーさんの部屋の前まで来た。

メドウ:「し、失礼します」 焦っているので落ち着き無い声で(笑)。

GM:では扉を開け、スペンサーさんの部屋の中へ。
そこは明かりも無く真っ暗で静かな空間だった。

メドウ:「…スペンサーさん?」

GM:その時にふと“――ぴちゃん”と言う水滴が落ちる音がこの場に響いた。

メドウ:水滴の方に向いて、目を凝らします

GM:見ると、その床には――血に塗れたスペンサーの遺体が倒れていた。

メドウ:ば、馬鹿なっ?!スペンサーさんっ!スペンサーさん!!
誰か…誰か来て下さい!!誰か!!」 叫びつつ、スペンサーさんの元にかけよる!

GM:そこでメドウは気づいた、スペンサーさんの遺体に傍に立つ二人の人影に。
そしてその一方の人物は気味のよく知る人物だった。
真紅に塗れた剣を持つ銀髪の男―――シアだ。

メドウ:「ッ!シア…お前…何やってんだ…その手に持ってるのはなんだよ…おい…!」
目を見開いてシアの方を向く。目の前の情景が信じられない表情で。

GM(シア):「見ての通りだ。俺がスペンサーを殺した」
いつもの冷静な口調のまま、その冷徹な事実を宣言する。

メドウ:「何でだよ…なんでそんな事をしたんだよ…シア…シア…!」
目から涙がぼろぼろこぼれる。そんな事をするような奴ではないと信じていたのに。

GM(シア):「涙を流すのか。メドウ」 そんな君を見下ろしシアは言葉を続ける。
「お前が羨ましいよ。俺はスペンサーを殺した事には何の感情も浮かばないからな」

メドウ:「っ…く…うう…師匠の…ウェルファスの差し金か…?」

GM(シア):「そうだ。彼はウェルファスの計画に気づいていた。だから、俺達が送られた。
ただそれだけだ」

メドウ:「お前が、謀反を起こしたウェルファスの側につくと言うなら…僕は、シアを、お前を、殺す!!
僕が処刑してやるっ!!!」 髪を結んでいた紐を引きちぎるようにもぎとり
持っている刃物を振りかざしてシアのところへ走っていく。目に冷静さは無い!!

GM(シア):「…さすがだな、その殺気。ウェルファスが欲しがるわけだ」
すさまじい殺気を放つ君を見てシアは冷静にそう評価を口にする。
「だが、生憎と俺達の任務はスペンサー暗殺だけではなくてな」
そう言うや刹那、シアと隣りにいたもう一人の人物は部屋の窓をつき破り外へと出る。
そして、そのままの疾速でここから離れた先にある黒い塔へと向かっていく。

メドウ:そのまま追いかけて窓から飛び出します!ここで逃すわけにはいかないっ!!

GM:ちなみにメドウ君は彼らの向かった黒い塔がどんな場所であるか知っている。
エデンが危険と判断した古代の遺物や魔導具などを厳重に封印している場所だ。

メドウ:マズい…ウェルファスの考えている事が判りかけてきた…!
そう思いつつ、シア達に追いつこうと必死に駆けて行く。殺意は変わらない。
スペンサーさんを殺した罪は何よりも重いんだ。

GM:では、君はすでに破壊された黒の塔の扉からその内部へと入っていく。
そこにはすでにシア達の姿はなく奥へ続く扉が開かれているのみだ。
君は急ぎシア達を追い、扉のさらに奥、その最深部の間へと向かう。
そこには中央に厳重に封印をされた黒い箱に手を伸ばそうとしているシアの姿があった!

メドウ:待て、と言いたい気持ちを押さえつけ、その言葉に要する呼吸を使って
力強く床を蹴り進む。とんだ道化だ、待てと言われて待つ奴は居ない。
その勢いをのせ、ナイフをシアに投擲します!

GM:そのナイフに瞬時に反応したシアは剣を一閃。“がきんっ!!”と君の放ったナイフを弾く。
シアは瞬時に君から距離を取り、剣を構える。
「…やはり、戦わざる得ないか。メドウ」

メドウ:今の投擲で全刃物を使ってしまった。なんて愚かなんだ…。

GM(シア):「悪く思うな。障害は全て消せとの命令もある。」
そう宣言し地を蹴り君へ向かっていくシア!

だが、その瞬間。
“――ぱきんっ!!”と何かが砕ける音がこの空間の中心から聞こえた。
見るとそこには黒い箱を内側からやぶりあの時の、あの『柄』が姿を現していた。

GM(シア):「――?! まさか、命刀(アマステラ)が!」
シアは部屋の中心で自ら封印を破いたそれを初めて驚愕の表情を浮かべて見る。

メドウ:刃物が無い状態でシアと戦おうなど無謀もいいところだ!
何かのマジックアイテムだという事に期待しつつ、そっちへ駆けて行く!

GM:シアは目の前の現象に驚き、君へのその対応が遅れた。
そして、君はその柄を手にする。瞬間―――。

“きぃぃぃん”という鋭い音と共にメドウの持ったその柄から光の刃のようなものが生成された。
それは白く美しい見る者全てを魅せる輝きを秘める刃。

GM:そう、それは君が扱ってきたどんな武器よりも遥かな威力を秘めている事を
君は瞬時に理解できた。

メドウ:「命刀――アマステラ、と言うのかこれは…裏切り者を屠るにはおあつらえの武器だな」
その威力に驚愕しながらも、アマステラをシアに向ける。

GM(シア):「まさか、お前がその神器に選ばれるとはな。…面白い。」
そう言ってシアはその疾風の動きで君へ近づき、一閃を放つ!

メドウ:「選ばれる…?」 その言葉への疑問がちらっと頭をかすめたが
今は雑念は振り切ってシアに相対。アマステラで応戦!

GM:君の放ったアマステラの刃はシアの剣をいともあっさりと弾き返す。
いや、それだけではなく君には眼前で相対するシアの動き、その攻撃がハッキリと視える。

メドウ:この剣の力か…?そう思いつつも、アマステラの刃を致命的な一撃となるよう、
急所にむけて迷い無く振り下ろす!

GM(シア):「―――っ!」
君のその正確な一撃を間一髪みずからの剣を犠牲にすることにより防ぐシア。
しかし、シアの剣はアマステラにより両断され、その刃は地に落ちる。
“から――ん…”と乾いた音を響かせて。

メドウ:「どうしたシア。この程度で終わりか?」

GM(シア):「………ふ、ふふっ…。」見るとシアはその口元に笑みを浮かべている、
君がそれを確認した瞬間「――ははははははははっ!!」 不意にシアは笑い声を上げる。

メドウ:?!動揺します。

GM(シア):「…メドウ。“これ”がそうなのか?」シアは今まで見せた事の無い表情を
君へ向けて問い掛けてくる。「俺は今、お前に対して求めている。」
「闘争…俺はお前との戦いに感情を、いや自分の価値を見い出している。
俺はずっとお前の傍にいて、お前を羨ましいと思っていた。
それはきっとこの瞬間を待ち望んでいたからなのかもしれない。」

メドウ:剣を降ろしている自分に気付く。激情は去っていた。
静かにシアの言葉に耳を傾けます。

GM(シア):「そう、メドウ。俺はお前との戦いを無意識で望んでいたんだ――。
それがきっと俺が唯一生み出した俺の感情だろう。」

メドウ:「唯一生み出したお前の感情って…」 その言葉の真意を測りかね、聞こう。

GM(シア):「メドウ。俺には何も無かった。
当然だ、俺はお前達のようにこの世に正しい生を受けた人間ではない。
俺はウェルファスによって禁忌の技術により生み出された人工生命…」

「『禁忌の子(サクリード・チルドレン)』なのだから」

メドウ:「!!そんな…まさか!だってお前…!」
そう言ってから、後に続く言葉が見つからないことに気付く。
正しく祝福を受けてこの世に生れ落ちた生命と
人工生命の間に明確な線引きをする事は自分には――出来ない。

GM(シア):「…だから俺自身、自分の命に価値なんか見い出していなかった。
――だが、今は違う」 そう言って彼は迷い無い瞳を君へ向ける。
「メドウ。お前が俺を変えてくれた。お前が俺に意味を、感情を、存在をくれた」

メドウ:「シア…」
呟いて、剣を握り直す。どうしてこんな事になってしまったんだろう。
どこで間違えた。どこで。どこで――

GM(シア):「俺は――お前との戦いに、俺自身を見い出だせるッ!!」
そう言って折れた剣を構え、再び君へと向かってこようとする――!

メドウ:ぎりっ、と歯を食いしばり、剣を構える。迷いは―――無い。

GM:だがその瞬間、それまでシアの傍にいたもう一人の人物がシアの腕を掴み
その行動を制止させる。「…もう、そこまでにしよう。シア。これ以上の戦いは命令違反だよ」

メドウ:そうか、もう一人いた。

GM(少女):「アマステラがメドウさんの手に渡った以上はここは退くしかないないよ…」
その人物はどこかシアに似た少女だった。銀の髪と憂いの瞳。
そして黒いマントを羽織った14、5くらいの少女。

メドウ:彼女も人工生命なのだろうか、との思いを抱きつつ、そちらに向く。

GM(銀髪の少女):「…メドウさん。この場はこれで退かせていただきます。
ただ、これだけは言わせてください。貴方の大切な人を殺して………すみませんでした…」

メドウ:その言葉に驚く。人工生命にそのような感情は無いのではなかったか。
その驚きが、構えていた剣を降ろさせた。

GM:ではその隙を見て、少女とシアは胸に隠してあった魔導具『空間水』を足元へと叩きつけた。
そしてその水を浴びた二人の姿はこの場から、完全に消えた―――。

◆空間水
その水を身体に浴びれば使用者の望んだ場所に瞬時に移動できる便利アイテム。

メドウ:「……」 尊敬する人を殺され、信じていた者に裏切られ、後に残ったのは虚しさだけ。

アマステラと呼ばれたその剣を床に置き、メドウはその場で静かに――泣いた。

※     ※     ※

GM:やばい、メドウ君が主人公すぎる!!(笑) 素敵でしたよ!(笑)

メドウ:ありがとうございます(笑)。

レイア:格好よかったぜ(笑)。

アルス:いやぁ、いいシーンだった。

メドウ:GMの話の持って行き方が凄くてやりやすかったですよ(笑)。

GM:ありがとうございます(笑)。では次はレイアさんのシーンへと行きましょうか!

レイア:覚悟完了!いつでもどうぞ。


◆シーンプレイヤー・レイアOP2 〜死に花〜
GM:さて、レイアさん。君はあのルグワ遺跡での任務から半年。
シルヴィアと共に危険な任務の遂行が急激に増えていったね。
というのもここ最近、魔族達による破壊活動が尋常ではない。
今までは水面下だった事が今では人目をはばからずに大規模に行われている。
噂では北のフォブリア大陸にて魔族の王なる者が世界への侵攻開始による影響など
様々な憶測が飛び交っているが…。

レイア:なるほど。

GM:と、そんな折に君とシルヴィアにエデン参謀・シュヴァルストから重大任務が与えられる。
彼はいつもの口調のまま、君達に任務を下す。
「よく来てくれたレイア、シルヴィア。今回の任務だが今までの比ではない、故にお前達を選別した。
ここエデン付近に存在するアルギア山脈にて数十万を越す大規模な魔族達が集結している。
その中には上位種も確認されている。奴らの目標はここ―――エデンだろう。
お前達には奴らの掃討戦を命ずる。悪いが拒否権は無い。そのままの足で任に着いてもらうぞ」

レイア:「了解しました」 きっちりと正式な礼で答える。

GM(シルヴィ):「必ずや任務を果たして見せます」 といつになくシルヴィアも真剣に。
そうして君とシルヴィアはエデン帝国参謀室を後にする。

レイア:「やれやれ、参謀殿は俺達に死ねというのかね?」

GM:と、君たちが部屋を出たところで意外な人物に会った。
幾度か君たちと共に死地を戦い抜いた戦友・ウェルファスだ。

レイア:「よぉ、久しぶりだな!元気だったか?」 と親しげに肩を組む。

GM(ウェルファス):「フッ、相変わらずだな。レイア」 あくまでも冷めた態度で返す(笑)。

レイア:「ちっ!相変わらずいけすかねー野郎だぜ」
憎まれ口を叩きながらも笑顔。

GM(ウェルファス):「それよりも、お前達これから魔族掃討戦に向かうのだろう?
私も丁度同じ任務をシュヴァルスト殿から受けてな、共に行ってやろう」
と彼は不適な笑みを浮かべる。

レイア:「おいおい、我が国が誇る優秀な頭脳がそんな所にいくこともねぇだろうよ」

GM(ウェルファス):「なに、私としても得た知識を力として行使したい場所も欲しいしな。
それに――」 とそこでウェルファスはチラリとシルヴィアを見た気がした。
「…とにかく、私も共に行こう。お前達はせいぜい雑魚の掃除でもしているがいいさ」
と言って、ウェルファスはマントを翻して、戦地へと向かう。

レイア:「おい!お前にはシルヴィアはやらんぞ――!!」 場所も気にせず叫ぶ。

GM(シルヴィ):「ばっ!あ、アンタ何言ってるのよー!!」 と言ってシルヴィアは君の頭を叩く(笑)。

メドウ:やばい、惚れる。なんてナイスガイだ(笑)。

レイア:惚れとけ(笑)

GM(シルヴィ):「何にしても今回は今まで以上の激戦なんだから、気を引き締めていくわよ」

レイア:「応、俺のあまりの格好良さに見とれるんじゃないぜ?」 ウィンク。

GM(シルヴィ):「はいはい。さっさといくわよー」 と、いつものようにシルヴィアは君の軽口を流す。

そうして悲劇の舞台が降りた――。

※     ※     ※

―――数時間後、アルギア山脈にて。
すでにそこは血と硝煙と肉が焼けた地獄と化していた。
敵、味方、人間、魔族、構わず地面には無数の死体が詰まれ
そして、それ以上の魔族がいまだ上空と地上からレイア達を囲んでいた。
すでに彼らの身体は自身の血と返り血に塗れ、満身創痍だった。

レイア:「あー糞、片目じゃ距離感が掴めねぇな」 右目の上に大きな傷、血が止まってる気配は無い。

GM(シルヴィア):「…はぁはぁ……そう言えば、前にも…似たような状況…あったわよね…?」
シルヴィアは額の汗を拭いながら君へそう言う。

レイア:「あぁ…あったな。あん時は帰り道お姫様抱っこしてやったけか」

GM(シルヴィ):「してないわよっ!何勝手な妄想とごっちゃにしてるのよッ!!」
――とにかく、あの時のようにここを切り抜けてみせましょう!!」
そう言ってシルヴィは天術の詠唱の構えへと入る。

レイア:その彼女を守るように敵の前に立ちはだかる!惚れた女守って死ぬなら本望!!

GM:君達へ向かって襲い来る無数の敵、敵、敵。
君はそれを薙ぎ払い、切り払い、打ち払う。だが、いくら眼前の敵を倒そうとも
疲弊していくのは君達の体力。やがて刀を握る力にも限界が来た時。
「…くくく、もう諦めて死んではいかがですかッ!」と漆黒の翼を翻す魔族の刃が走る!

レイア:うるせぇよ不細工が!愛の力ってぇのは無敵なんだぜ!! 吼えつつ抜刀!

GM:「―――ッ!」 君のその一閃に身体を両断される魔族。
だが、気づいたその魔族は君に斬られながらも、笑っている事に。
そう魔族の最後の視線は君ではなく――奥のシルヴィアを見ていた。

レイア:ッ?! 嫌な予感がする、こんな光景を以前にも見た。

――そう、それは以前も見たあの時の状況と同じ。
レイアは後ろにいるシルヴィアを見る、そこには彼女を狙うように背後に存在する魔族。
だが、あの時と決定的に違うもの。それは…

レイア:必死に走ろうとするが足は動かない。腕は既に上がらない。
それでも俺は、俺は愛する者を救おうともがく!

それは、レイアとシルヴィアの体力が、限界だったと言う事。

GM:駆け寄ろうとする君より早く眼前でシルヴィアへと魔族の鎌が振り上げられる――!

だがそれが降ろされる瞬間――――。

“ごおおおおおおおおおおおおおんっっっ!!!!!”

レイア:「ぐわぁっ!!」

突然の轟音、衝撃、そして閃光。
レイアの眼前を全てを焼き尽くす雷撃が降りた瞬間、それは超高密度の爆発を引き起こし
全てを――――消し去った。

※     ※     ※

GM:レイア。君はとっさに両腕を交差してダメージを軽減したが、
その腕は内部の骨が見えるほどに焼き落とされていた。目の前にはただ死地が広がっているのみ。

レイア:眼を開き、視界に飛び込んできた光景に絶句する。シルヴィアは…シルヴィアは!!
彼女を探すっ!!

GM:死の灰が舞い散るその場で君は不意にその声を聞いた。
「――――レイア……」

レイア:「シルヴィア?!」 声のした方に咄嗟に駆け出す!

GM:見ると先ほどの衝撃で空いた巨大な亀裂の中。辛うじて右腕一つで岩肌に掴まっている
シルヴィアの姿がある。その身体は全身が焼かれ、ひどい重症を追っているのが分かる。
「…また……しくっちゃたね…」

レイア:「くそ!いいから掴まれ!」
焼け焦げ、既に感覚は無い腕で彼女の腕を取り無理やり引き上げようとする。

GM(シルヴィ):「……あんた、その腕……無理だよ。それじゃああんたまで……」

レイア:「うるせぇ!腕なんかまた生えてくる!いいから、黙ってろ!!」

GM(シルヴィ):「……レイア」
シルヴィアは君の瞳をじっと見つめ、やがて一言を言う。
「…レイア、私さ……。………ははっ。やっぱ、無理だなー。恥ずかしくて言えないや…」

レイア:「…なんだよ、俺とお前の仲だろ…?」

GM:その言葉に彼女は君の瞳を見据えて言葉を言う。
「レイア……」

「頑張れよ――――」

GM:その一言と共にシルヴィは掴んでいた君の腕へ持っていたナイフを突き刺す。
その痛みに君は腕を放した―――。

レイア:「が―っ――!」

GM:彼女は、シルヴィアは、君の顔を見たまま淵へと落ちていった。

レイア:彼女の最後の表情は笑っている?泣いている?
わからない。視界が何かで覆われていて見えなかった。見え―――

GM:そんな、君へ冷徹な声が聞こえてくる。
「どうやら、魔族共は全滅したようだぞ。レイア」そう、ウェルファスの声が。

レイア:「―――あ?」
ゆらり、と幽鬼のような足取りで近づいてゆく。

GM(ウェルファス):「シルヴィアは巻き込まれて死んだか。運の無い奴だった」

レイア:コイツハナニヲイッテイル?ウンノナイヤツ?

GM(ウェルファス):「どうした?作戦は成功だぞ、もう少し喜べよ」

レイア:「……お前…自分が何言ってるか判ってるか…?」

GM(ウェルファス):「ああ、事実を言っているだけだが。あの勇猛な女騎士・シルヴィアの最後が
味方の攻撃に巻き込まれての死とは…とても栄光ある最後とは程遠いな」

レイア:「手前ぇ!!」 既に動くはずもない腕で掴み掛かる!!

GM(ウェルファス):「……手を離せ。レイア」

レイア:「……お前が殺したのか?」
その眼に感情は無く、凍てついた様な表情のまま問う。

GM(ウェルファス):「そんなつもりは無かったのだがな。まあ結果的にはそうなってしまったな」
表情一つ変えず、彼ははっきりとそう宣言する。

レイア:俺はこいつをどうするつもりなんだろうか…?自分が今何を考えているかすら分からない。

GM(ウェルファス):「用件が無いなら、私はそろそろ帰還させてもらうぞ」
そう言って、君の手を振り解き踵を返すウェルファス。
その去り際、彼は誰にも聞かれないほどの声で呟く。

「――これでパーツは手に入った」

レイア:遠ざかっていくウェルファスのその背を見て、奴にかける言葉が出てこなかった。
しばらくたってから愛しい者が死んだのに涙を流してない自分に気づいた。

自分はこうも冷血な人間だっただろうか?
レイアは自分が今悲しいのか、悲しくないのか。
それすら解らずにいた。そしてただ、ただ、

「――――――ッ!!!」

その場で声なき声を叫んでいた―――。


 
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