第2章 永遠の忠誠

◆PC2オープニング1 〜永遠の忠誠〜
君には記憶も何も無かった。
自分にあったのは『眠り(ヒュプノプス)』と呼ばれる特別な力。
だがその力のせいで望まぬ組織へ足を踏み入れ、裏切る結果ともなった。
心も身体も疲れ果て、死を覚悟した貴方を一人の女性が救ってくれた。
少女の名はシアリー=ハルワーナ。
そして君は彼女の、フェザード王国の“騎士”となった。

朝――いつものようにアルジェントは王城の中を歩いている。
行き交う人々や騎士達はアルジェントを見ると軽くお辞儀を行うが
それはあくまで社交辞令としての挨拶。
その目にはアルジェントに対する恐れと嫌疑がありありと映っていた。

GM:シアリーに拾われ半年。僅か半年にして君の地位は女王側近の騎士の一人となっており、
それに面白くないと感じている者も多くいるのか通路を歩く君へ
そんな視線や感情が浴びせられている。

アルジェント:(分不相応…か。そうだろうな…)
嫌悪も畏怖もそれこそ空気のように浴び続けてきた。
それが当たり前の世界で生きてきたし、これからもそうだろう。

GM:いつものようにだが、もはや慣れた“それら”を受けつつも君は女王陛下の部屋の前まで来る。
彼女を起こし、朝食場までご案内するのが君の役割の一つだ。

アルジェント:了解。ではドアをノックしよう。
「姫様、お目覚めの時間です」

GM(シアリー):「あ、は、はい〜。ち、ちょっと待って下さい〜!」
そんな声と共に少しどたばたした音が聞こえ、やがて扉がゆっくり開かれる。
「お、お待たせしました〜、アルジェト」 テヘへと笑みを浮かべて君に挨拶をする。


アルジェント:「姫様、朝食の時間です。参りましょう」
しかしアルジェントはいつもの無表情のまま、あくまで機械的に応対する。
うわっ、可愛い!と、中のプレイヤーは思ってるんだけどね。

サクス:ドラカワユス(笑)

GM(シアリー):「あ、は、はい。分かりました〜」
歩いていく君の後ろをとてとてと歩いてくる。

アルジェント:周囲を常に警戒し、いつ敵が襲いかかってきても対応できるように
気を持ちながら、朝食場までお連れしよう。

GM(シアリー):「…きょろきょろ…」
見るとシアリーはきょろきょろと周囲を見回している。と言うよりも、誰かを探しているのだろうか。

アルジェント:「どうされました?」
振りむかずにその気配を感じ取り、そう言う。

GM(シアリー):「あ、そ、その、レストがいないな〜って思って…」
と、ちょっと慌てたように。
基本的に彼女の身の回りの世話は君とレストで行っている。
ただしレストの気まぐれ野朗はほとんど仕事をせずに中庭で昼寝ばかりしているが(笑)
なので、ほとんど君が奴とシアリー様のお世話をしているようなものです。

アルジェント:「朝食場へお連れするくらいは私一人でも可能です。
いつも一緒にいる方が異常、そう考えればよいことです」

GM(シアリー):「そ、そうですか…」
ちょっと困ったような汗を流しつつ、君の後をついてシアリーは朝食場の前まで到着する。
そして扉を開ければそこはすでに朝食の準備がすっかり整っている。
シアリーは自分の席へとてとてと進む、そこへ座ると君に対し「いつもありがとぉ、アルジェント」と微笑む。

ディゼル:かぁぇぇ(笑)

GM(アリス):(…浮気したら殺すぞ…)天の声。

アルジェント:(…?)
彼女の微笑みとお礼が理解できず「当然のことです」と返そう。

GM(シアリー):「うん、そうだったね」
君のそんな疑問を浮かべる顔を見てもニコニコ笑顔を浮かべている。

アルジェント:アルジェントとしては本当に何故お礼を言われているのかわからない。
自分はあのとき命を助けてもらったから命一つ分の働きをしている。
今更お礼を言う必要など無いと考えているからね。

GM:いいキャラだ、アルジェント(笑)。
とりあえず君の日課である、女王陛下を朝食場へお送りする任務は済み
早く退出しろと言わんばかりに周りの兵士達は冷たい視線を君へ送っている。

アルジェント:それでは退出しようか。
もちろん中で不穏な気配があったときにはすぐ対応できるように警戒はしてるけどね。

GM:では退出と同時に扉の先に立っていた騎士団長が君を見て近づき話をしてくる。
「…アルジェント。ここにいたか、丁度よかった」

アルジェント:「どうしましたか?」

GM(騎士団長):「少しお前に話しておかなければいけないことがあってな」

アルジェント:「わかりました、要点を絞ってお願いします」

GM(騎士団長):「アルジェント。“アヴェスター教会”について聞いたことはあるか?
ここ数年で急激な成長を果たし、この大陸の各都市・国家を飲み込み滅ぼしてきている影の勢力だ」
とりあえず、どの程度知っているかは才覚でジャッジして高い目が出れば、より情報を提供しますので。

アルジェント:才覚は6しかないが、やってみよう。フォーチューンが出ればもうけもんだし。
えっと、8・3で17ですな。

GM:う〜ん、まさに騎士団長が言っているくらいしか知らないね(笑)
10年くらい前に創立したとかなんとか?

アルジェント:「はい、創立はおよそ10年前とか」

GM(騎士団長):「ああ、そのアヴェスター教会が我らが国・フェザード王国を狙っている動きがある。
国境近くに他国からの軍が侵攻してきているが…奴らの背後にいるのはこのアヴェスター教会だ」

アルジェント:「そうですか…。いつかは来ると思っていましたが」

GM(騎士団長):「まだ本格的に戦争に入るわけではないが、こうなった以上は多少の戦いは免れぬ。
奴らに対しては和平などは通用しない。奴らにあるのか隷従か降伏かそれしかないからな」

アルジェント:「つまり、この国を護る為には戦え…と、そういうわけですね」

GM(騎士団長):「ああ…そこでアルジェント。お前にはこれからある御前試合に出てもらいたい」
と騎士団長は唐突にそう切り出す。

アルジェント:「御前試合…?」

GM(騎士団長):「国境近くに派遣する兵を選抜するための試合だ。
奴らと渡り合うには相当の手腕で無ければならない。今、わが国にいる騎士の中で
最も腕が立つのがお前とレストだ。姫様の護衛騎士であるお前たちの内、より腕が立つ方に
国境へ防衛線に向って欲しい」

アルジェント:「わかりました」

GM(騎士団長):「…すまないな、この国の生まれではない君を、こんな大事に巻き込んでしまって…」

アルジェント:「問題はありません。私は姫様に命を救っていただきましたから、
命一つ分の働きはします」

GM(騎士団長):「うむ。では、レストを探して奴と共に大広間の方へ来てくれ。
そちらで御前試合の用意をしてある」

アルジェント:「わかりました。それでは、失礼します」
そう言い、レストを探しに行こう。

GM:ではレストを探しに…と言っても君は奴のいる場所はすでに分かっている。

アルジェント:いつも中庭で昼寝をしている、と言っていたからね。

GM:です、彼はいつもこの時間は中庭で昼寝をしている(笑)。
ちなみに彼は君がこの国に来てから、君に近づいて友になった風変わりな男。
(そう思ってるのは向こうのみだが)
で、中庭に行くと、そこでは「…zzz」と静かな寝音を立てて寝ている奴の姿が。

アルジェント:「………」
それでは無言で糸を放ち、くるくるっと首に巻きつけてやろう。

GM(レスト):「…ご…!し、死ぬ…や、やめ…」
相手は苦しんでいる!

アルジェント:では糸を解き、一言「起きろ」と言う。

GM(レスト):「…もう少し、優しく起こしてくれよ…ふわぁぁぁ…」
さも眠そうにボサボサの髪をかきながらゆっくり立ち上がる。

アルジェント:なるほど、相手は二刀流か。

ディゼル:相手(笑)

GM(レスト):「……ん?で、何か用か?」
眠そうな目のまま聞いてくる。

アルジェント:「大広間へ来い。御前試合をする」

GM(レスト):「ん、今からか…?急だな…もう少し寝てからじゃだめなのか…」

アルジェント:「次に寝たら起きることは二度と無いと思え」

GM(レスト):「お、お前の冗談は相変わらず笑えないな…。わ、分かったよ、了解〜」
そう言いつつ、レストは傍らにあった二刀を携え君の隣を歩く。

アルジェント:「御前試合の相手は俺だ。遠征をする者を選ぶ試合だから死ぬことは無い」
そう言いながら大広間まで歩いていこう。

GM(レスト):「遠征…?ああ、そう言えば昨日団長がそんな事言ってたような…zzz」

アルジェント:首に糸が巻きつくぞ。

GM(レスト):「寝てない。寝てないぞ」と慌てて。

アルジェント:「そうか」

GM:まぁ、そうこうしながら君とレストは大広間にたどり着く。

アルジェント:「ただ今参りました」
大広間に入って言うが、さてどれほどの人がいるかな。

GM:では君とレストが大広間にたどり着くとすでに御前試合の用意が整っており
騎士団長が近づいてくる。「おお、来てくれたかアルジェント。それにレスト」

アルジェント:「はい、お待たせしました」

GM(騎士団長):「こちらも丁度準備が終わったところだ。
早速で悪いが、お前たちの試合を頼んでも構わないか?」

アルジェント:「わかりました、準備はできています」

GM(騎士団長):「うむ、では頼んだぞ。ああ、それと二階のホールから
姫様もお前達の御前試合を見たいと言って来ていらっしゃってる。
二人とも気合を入れて試合を行ってくれ。」
見ると確かに二階のホールから身を乗り出すようにシアリー女王陛下さんが見ていた。
彼女は君たちに気づくとぶんぶん手を振ってくる。
「あ、レストぉ〜!アルジェント〜!頑張って〜!」

アルジェント:それではシアリーの方を一瞥して、視線を元に戻す。

GM(レスト):「…ま、こうなったら仕方ないか。さっさと始めるか。アルジェント」
レストもそう言って双剣を構え、君と対峙する。

アルジェント:「そうだな、姫様が「頑張れ」と命令した以上、頑張らねばならん」
剣を構えるレストに対し、アルジェントは構えをとらず自然体でいる。これが彼の”構え”なのだ。

GM(レスト):「…ん、そう言えば、お前と戦うのは初めてだな」
そう言って瞬時に君の眼前に移動したレストは双剣を同時に振るう。

アルジェント:「そうだな」
一撃目を避け、二撃目が来る直前に<銀閃>で返してやろう。

GM(レスト):「……んっ」
彼の放った二刀の煌き、その間隙を突いて、君の銀閃は彼の持っていた剣の片方を落す。
「やるじゃねえか。眠気が全部吹き飛ぶぜ」

アルジェント:「安心しろ、またすぐに眠ることになる」

GM:その君の台詞に対しレストは笑みを返す。そして双剣を構えなおし再び君へ向き直る。
フェザード王国、最強の二人の騎士。
そう言われても間違いない二人の戦いはまさに熾烈を極める。

アルジェント:「ならば次はこちらから行こう。地脈・第一階位【眠り(ヒュプノプス)】!」
幾多の糸が四方八方から襲いかかるぞ。

GM(レスト):「こいつが噂の…さすがに尋常じゃない闘気だな」
そう軽口を叩きつつも君の放った糸の前に防戦に陥るレスト。
勝敗は君へ委ねられたかと思ったその時、一人の少女の叫びが聞こえる。

アルジェント:お?

「れ、レストー!ま、負けちゃだめだよぉ〜!」

それは普段のシアリーからは予測つかないほどの大きな声。
劣勢状態で負けが確定されつつある己の護衛騎士に対し応援の言葉を送る。

アルジェント:「ッ!?」
その声にわずかに驚いた顔をする。彼女はレストの勝利を望んでいるのかと。

GM:そう、そんな疑問が迷いが君の中に一瞬生まれる。
だが、そんな君の考えを一笑するようにレストの声が聞こえた。

「お前の勝ちだぜ――アルジェント」

GM:その宣言と同時に彼はばたんっとその場に倒れる。
見ると君の糸のいくつかが彼の身体にたどり着き『眠り』の効果を放ったようだ。
レストは気持ち良さそうに健やかな寝息を立てて寝ている。

アルジェント:「………」
一瞬彼の言った言葉が理解できなかったが、すぐにそれが自分の勝利を意味すると理解して糸を戻す。

GM(騎士団長):「ふむ、見事だ、アルジェント。レストも、もう少しやれるかと思ったが…。
どうやら防衛線における闘いはお前に一任して良さそうだな」
そう言って騎士団長は君の方に手を置く。

アルジェント:「わかりました」
自分の勝利が決定したようなので、レストの『眠り』を解除する。それでも寝てそうな気もするが。

GM:見ると、二階から降りてきたシアリーが倒れたレストの方に近づいて
その身体をゆさゆさ揺らしている姿が視界に入った。
「レスト〜!レスト〜!起きて〜!」
すると君の眠りの解除に呼応したのか、シアリーの声に反応したのかレストはゆっくり起きる。
「zzz……ん、あ、ああ、これは姫様…おはようございます……」
と明らかに寝ぼけているレストに対しシアリーは笑いながら声をかける。
「もぉ、、おはようじゃないよ、心配したんだよ、レスト」
と、そんな二人のやり取りに、君はどこかでふとした寂しさを感じる。

アルジェント:それでは二人のところに歩いていき、シアリーの前に跪いて
「申し訳ありません姫様、命令に背きました」と言おう。

GM:では、そんな君の台詞に対しシアリーはきょとんとして返す。
「え?背いたって…ど、どうして?そんな事ぜんぜんないよ〜」

アルジェント:「姫様はこの勝負の勝者がレストであることを望んだ。しかし私はそれに背きました」

GM(シアリー):「え、そ、それは…。ち、違うよ、アルジェント。
確かに私はレストを応援したけど…それでアルジェントがわざと負けたらそれこそ間違ってるよ!」
少し頬を膨らませて講義するように言う。

アルジェント:「それでは、この勝負はこれでよかったのでしょうか」

GM(シアリー):「うん、それはそうだよぉ!レストとアルジェントも友達なんだから、
お互いに全力を出して結果を出すのが一番だよぉ!そうじゃないと意味ないんだから!」
屈託無い笑顔を浮かべてシアリーはそう言う。

アルジェント:「わかりました」
そう言うと立ち上がり、踵を返す。

GM(シアリー):「…あ。待って、アルジェント、腕怪我してるよ?」
そう言われて君は自分の腕を見る。先ほどのレストとの闘いでついたものだろう。
「ちょっと待っててね」
そう言うとシアリーはしていた髪のリボンを解いて、君の腕に巻いてくれる。

アルジェント:「姫様…?」

GM(シアリー):「応急処置ってほどじゃないけど、放っておくと良くないから。
ちゃんと後で消毒しないとだめだよぉ」
そう言って、君の腕に包帯代わりとしてリボンを巻き終わった彼女は微笑んで言った。

アルジェント:彼女の行動が理解できない。
何故自分がこんなものを受け取ることができる。
何か自分は彼女に対価を支払ったか?それともこれから支払うことを約束したか?
何も無い、何も無いはずだ。見落としているのか?
きっとそうだ、そうであるはずだ、そうでなくてはならない。

GM:彼女からしてみれば単純に君の傷を気にしての優しさからのものだったろう。
だが、それが君にはどこかで嬉しく感じるものがあった。

アルジェント:(理解できないはずなのに…嬉しい…?なんだこれは…)

GM(シアリー):「どうかしたのぉ?アルジェント」

アルジェント:「……いえ、何でもありません。…ありがとうございます」
そう言って、自分の口から出た言葉にまた驚く。どうしたというのだ。

GM(シアリー):「アルジェントがお礼を言ったのは始めて聞いたかも。うん、こちらこそ!」
君の発言に少し驚くシアリーだったが、すぐにいつもの笑顔を浮かべ君へそうお礼を返す。
「…珍しいものみれなぁ…」
とシアリーの隣にいるレストもそう少し驚いたように。

アルジェント:「それでは、傷の治療に行ってきます」
本来なら放っておいても問題は無いだろう、だが今はこの場を離れたかった。
今の自分はどうかしている。

GM(レスト):「…アルジェント」
不意にその場を離れようとする君の背にレストの声が掛かる。

アルジェント:「何だ?」振りむく。

GM(レスト):「――防衛線、気をつけて行って来いよ」
いつもの気まぐれで奔放な彼の発言とは違う、どこか真剣みを含んだ声でそう言う。

アルジェント:「わかった。お前こそ、俺がいないのだから昼寝をする時間があると思うな」
こちらはいつもどおり、いつものアルジェントで返す。

GM(レスト):「…はは、そりゃ確かにな」
軽く笑みを浮かべ、君のその言葉にレストは返す。

この時、アルジェントは知らなかった。
これが主(シアリー)と友(レスト)と、二人との別れの会話となる事が――。


 
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