約束の地編 幕章 眠りの皇帝

◆エンディングシーン1 〜一つの終わり、一つの始まり〜
GM:君たちは空間を抜け目を開き出口と思える場所から出てきた。
そこは崩壊したアヴェスター教会の本部。
そして、そんな君たちの帰還を待っていたかのようにシアリーやダグラス。
君達を支え、協力してくれた皆の姿があった。
「おかえり、アル!」
と開口一番シアリーがアルジェントを確認してそう言う。
「…よく無事で戻った」
とダグラスもまたそう口にするが、君達の輪の中にディゼルだけがいないことに気づき
わずかに表情を曇らせる…が、それもすぐに悟られない内に打ち消す。

アルジェント:「シアリー様。これ、俺の服に縫いこんだのシアリー様でしょう?」
と、ファルトスの涙が包まれたリボンを見せる。

GM(シアリー):「あ、それ、うん。少し前に御守りと思って。だめだったかな?」

アルジェント:「いいえ。これのおかげで今俺はここにいます。
慣れないのにこんなものも書いていただいて、ありがとうございます」
リボンには銀の糸で書かれた文字『あなたの空に輝きがありますように』

GM(シアリー):「ううん、役に立ったのならそれだけでよかったよ♪」
彼女は君の生還に純粋に喜び笑顔を向ける。
「どうも〜、お疲れっす、サクスさん〜」
とサクスの方にはザックが。

サクス:「……何者だ?」そっけなく返します。

GM(ザック):「ちょ、俺っすよ(笑)俺、活躍したじゃなないすっか!騎士仲間のザックです!
ディゼルさんが戻るまでクリストファーとかいう人形遣いと戦ってたエキストラっすよ!」

サクス:「ああ、そんなのもいたな。そんなのもいたな」

GM(ザック):「まぁ、ぶっちゃけ、サクスさんには生還をねぎらうNPCがいないんで
自然、貧乏くじの俺がサクスさんの帰還をねぎらうってパターンっす」(一同笑)

サクス:「メッタなことを言うんじゃない」

ディゼル:サクスの返しうまい(笑)

サクス:「…悪いが、今の俺は機嫌が悪い。咬まれないように注意して欲しいな」
と、蛇の尻尾だけ出してちろちろとさせます(笑)

GM(ザック):「……へ、蛇」
ザックが警戒しながらも興味深々に君の蛇を見る。

サクス:「かわいいだろう?咬むけどな」お尻をがぶっと(笑)
ここは鉄板(笑)

GM(ザック):「ぎゃーーーーーーーーーーーー!!!!」絶叫

一方で、未だ一人泣きじゃくるアリスの下へダグラスが近づく。

「…ディゼルは逝ったのか」

その問いにアリスは静かにうなずく。

「…そうか」

彼もまたディゼルに深く関わるものとしてアリスと同じような喪失感を味わっていたのだろう。


「…もしお前に行くべき場所がなければ私と来ないか」

知らず、彼はそんな事をつぶやいていた。
その言葉にきょとんとしたアリスだったが、しばらく後にアリスは涙を払いうなづく。

サクス:ロリッ娘で未亡人とか新しい…。

そんなアリスにダグラスはあまり浮かべない笑みを浮かべ空を見上げる。

それは遥か彼方にいる自分の甥――息子のような人物でもあった彼を見つめるように。


◆エンディングシーン2 〜ただ己の矜持に〜
GM:というわけでここからは各自のエンディングシーンです!
まず最初にサクスさんからいきますー!

サクス:あい。

GM:あれから君はあてもない旅を続けていた。

サクス:「同胞達…そうだな、ヴァルターの墓くらい作ってやりたいが
どうにも死体がないというのは悲しい事だ」
と、ひとりごちます。

GM:目的のない旅、いや、目的を探す旅か。
いずれにしろ、あの戦いで全ての同胞たちが死に、君だけが残った。
ならば残った君は何かを残した。そうした想いからの旅立ったのかもしれない。
「お〜い!サクス兄貴〜!待って下さいっすよ〜!」
そうそう、旅といえば、いらんNPCも一緒についてきていた。
こいつEDでフラグでも立てた気でいるのか、ずっと君の後を追い続けている。うっとうしい。

サクス:「とっととついてこないと咬むぞ。まあ付いてこなくても咬むけどな」
フラグ(笑)

アルジェント:まさかこいつがここまで出張ってくるとは…。

サクス:予想GUY

ディゼル:予想GAY

GM:一番出世したかもな(笑)
「……え”?」
サクスの矛盾した返しに思わず以前かまれた場所をガードするザック。

サクス:「…まだまだだな。別に俺はどこだろうと構わんのだ
そのガードした腕に咬みつきます(笑)

GM:「いてーーーーーー!!!」と絶叫するザック。
「あ、兄貴ひどいっすよ…そ、それよりも兄貴、次はどこの町に行くんすか?
それともダンジョンっすか!なんでも西のほうでは
大陸随一の戦士とやらがいるらしいっすよ!そこに行くんすか?!」

サクス:「ほう、大陸随一か。興味はあるな。案内してもらおうか、勿論断るなら咬むけどな」

GM(ザック):「ま、任せてくださいっすよー!こっちっすー!」
もうかまれるのは嫌なのかすげぇテキパキした動きで案内する。

サクス:「話のテンポは大事だ、よし行こう今行こう」

この騒々しい男と続ける珍道中の旅。

だが、君の中には魔王の呪いの一つ【螺旋の創生】が宿っている。
その呪いはいずれ君を殺し、君より相応しい人物へとわたるだろう。

だが、たとえそうだとしても生ある限り、君は君の矜持を生き方を貫く。

それが、友と主によって教えられた生き様なのだから―――。

GM(ザック):「俺たちは旅はこれからだ!!」

サクス:打ち切りかー!(笑)


◆エンディングシーン3 〜たった一人の為の騎士〜
GM:新生フェザード王国。
その女王となったシアリーの主席補佐官、そして騎士団の統括として君はその地位にあった。
数々の戦いがあったが、それでも君は君の大切なものを護れた。
「ねぇ、アル。アルは今の暮らしに満足してる?」
ある日、不意にシアリーがそう声をかけてきた。

アルジェント:「ええ、もちろんです。
愛する人の傍で護り続けることができる、それがどれだけ幸せなことか」

GM(シアリー):「えへへ、そっか、ありがとう」
言ってシアリーは空を眺めるように窓の外を見る。
「…半年前のあの戦いでアルの弟君が私をかばって死んじゃったのは聞いたよね、アル」

アルジェント:「はい」

GM(シアリー):「ほんと言うとね、私、その件でアルに
謝らないといけないとずっと思ってたんだ。だって、本当ならここにいたのは
アルの弟のライン君で、二人は本当は仲のいい兄弟だったんでしょう」
とシアリーはどこか自分を責めるように俯く。
「…あの時、私が注意をしていれば、あんなことにならなかったから」

アルジェント:「…ヴェルトハイムとの戦いの時
俺はわずかな間ですがラインの魂を取り戻し、自分の中に取り込みました。
その時ラインの記憶が流れ込んできたのですが
あいつは…ヴェルトハイムに斬られた時から少しずつ奴の力に蝕まれていたそうです。
おそらく…そう長くは生きられなかった。…あいつは、あのままただ蝕まれて殺され
取り込まれる運命に抗った。シアリー様を護ったのは、あいつの運命への反逆。
あいつが自らの力で“運命を切り拓いた”結果です」

GM(シアリー):「…アル、ありがとう」
君が言わんとすること、そしてラインが伝えたかった言葉を知り、シアリーは頷く。

アルジェント:「誇ってください。今生きていることを、あなたの星が輝いていることを。
そして、いつも…どんな時でもあなたの空にはあなたのために輝いている星があることを」

GM(シアリー):「――なら、ライン君や皆の分まで私たちが前を向いて歩かないとだめだね。
アル、これからも私の傍で私の事を支え続けてくれる?」

アルジェント:「ええ、俺は生涯あなたの傍で最も輝き続ける星で在ります」
ゆっくりと、シアリーに手を差し出す。

その手を受け取り、シアリーを笑顔を向ける。

もう道に迷うことはない、今、二人の上には空に輝く道を示す星があるのだから。

アルジェント:そして二人は声を揃えて言う。

「「あなたの空に輝きがありますように」」


◆エンディングシーン4 〜運命の選択〜
「…さて、これからどうするか」

皆と別れ、アリスと共に砂漠を歩くダグラスは呟く。

「ひとまず、私の家にでも来るか?アリス」

そのダグラスの問いにアリスが答えるよりも先に――

「いや、卿らには、是非我が帝国へ来てもらいたい。
アリス、そしてダグラスよ」

その声の主に思わず二人は同時に顔を向ける。
そこにいたのは場違いなまでの雰囲気を纏った一人の男。

その男が身に纏う覇気、大空総べるかのような威圧
もしただの常人であれば、彼と対峙した時点で気を失い
卒倒したであろう人としての規格外に存在する人物。
その男を前に二人は知らず一歩下がっていた。

しかし、そんな男を前にしてもダグラスは取り乱す事も無く
この場において最も自然な問いを投げかける。

「…貴方は」

「余の名は“空帝”グレスト。
エデン帝国皇帝グレスト=F=レヴァントス=エデン二世」

その名に、ダグラスもそしてアリスも知らぬわけがなかった。
現在の人類を総べる最強の帝国。
そこに座する人類最強の男の名を。

「…なぜ、そんな貴方が私達を招く」

それはアリスのみながずダグラスすらも理解不能な誘い。
かつて、ダグラスはエデンに身を置いた事もあったが
それを差し引いても皇帝自ら誘いをかけるこの状況に理解が追いつかずにいた。
そんな彼に返された返事は更に理解を越す答え。

「そのように未来が定められているからだ」

その空帝グレストのあまりに突拍子もない返事にダグラスもアリスも呆気に取られる。

「卿ら二人の運命はやがて、世界に大きな変革をもたらす。
そして、それを可能とする為にも卿らにはエデン帝国へ来てもらうのが一番なのだよ」

「………」

「…あ、私は…」

戸惑う二人を尻目にグレストはある決定的一言を放つ。

「卿らが“失ったな存在”
しかしそれは定められた運命であり、また卿らとの永遠の決別でもない。
何故なら彼は“今も存在している”」

そのグレストの下した事実に二人はこれ以上ないほどの衝撃を覚える。

「馬鹿な…あいつが、まだ生きて…?」

「正確には“今の彼”は卿らが知る彼とは異なる。
今の彼はそう、この世の白が最初に望んだ存在。
眠りの皇帝へと再臨を果たしたのだから――」

その言葉が大事な何かを失った二人に決定的な引き金をおろした事は
間違いなかった。

それを見越してか、グレストは語る。

この物語に隠された真実。
“悲劇的結末(デウス・エクス・マキナ)”の物語に潜んだ、もう一つの結末を。

そして、そこに宿っている彼らの希望。
“彼”との再会と。

「…なるほど」

全てを聞き終え、ダグラスは納得したように呟く。

「貴方のその話が事実ならば否応はあるまい。
私達は奴を取り戻す為に、その世界の敵とやらに備えなければならない。
そして、貴方に取って、それこそが私達を招く真の理由であり
奴を想う私達の情愛を利用し、来る戦いへと備えさせるという事か。
さすがは世界の全てを見通す全人類の皇帝と言ったとこか」

多少の皮肉を交えながらもダグラスは目の前の男を
かつて彼が出会ってきた誰よりも高く評価する。
これほどまでに先見の目を持ち、利用し利用される事に一切の無駄を与えず
最大限に配置する手腕はまさに世界の命運を握る者として過不足ない才覚なのだから。

「ならば私達も貴方のその思惑に協力し、私達の目的を果たさせてもらう」

「ああ、好きにするがいい。だが無論、余の下につくという事は
常に争いの戦火、世界の命運を賭けた天秤を担うという事。
その責務はあるかね」

「ここまで私達に秘密を打ち明け、傘下へ入る事を要請した割には愚問だな。
無論、その程度の覚悟ならば当に承知の上だ」

言ってダグラスはアリスを見る。

「お前はどうする、アリス」

「決まっている」

迷いない瞳を宿し、アリスもまた宣言する。

「あいつを取り戻す為なら何でもする。お前の下について命令にも聞いてやる。
だから約束しろ、私の目的の邪魔はしないと」

「無論だ。だが、その為にはまず相応の実力を身につけることだな」

言って立ち去ろうとする空帝の背にダグラスが声をかける。

「待て。貴方は私の才を、そしてその戦力を必要としていると言ったな。
ならば、それに相応しい手段を私もとらせてもらうぞ」

その言葉に耳を傾けたのか空帝の足が止まる。

「“敵”は強大だ。ならば、それに似合う戦力を我々も獲得するべきであろう。
貴方が言う未来が訪れるならな」

「…確かに、ではなんとする?」

その問いにダグラスは答える。それは後の歴史を大きく動かす発言。

「空帝グレスト卿。“貴方無き後の国”を支えるべき王の選別とその候補者の育成。
加えそれに匹敵する戦力の獲得。私とアリスを含め、もう数人。
世界の頂点に立つべき人材を見つけ、育成すべきだろう。
そして、その暁に私達は貴方の言う“確定されし歴史”を変え
捕らわれた我々の大切な存在を取り戻す」

天地に約束するようにダグラスは今ここに宣言する。

「ダグラス=フォン=シュヴァルスト。
かつてエデン最高指令官を務めていた我が兄の誇りと尊厳を対し誓おう」

その答えに空帝はただ満足げに返した。

「……ディゼル」

アリスもまたその名を呟き誓いを立てる。

「待っていろよ、私は必ず…必ずお前に追いついて取り戻してみせるからな。
――ディゼル」

それは後に【八王】とよばれるエデン司令官達の誕生の秘話。

八王の統括にして“雷統の王”シュヴァルスト
“支配の王”アリスの誕生に隠された物語。

ディゼル:こうつながるんだなあ。

GM:では最後にエピローグを持ってこの物語を締めようと思います。


◆エピローグ 〜眠りの皇帝〜
そこは――魂が還る場所。
魂が行き着き溶け合い、混じり合い、そして消え行く場所。

そこに一つの魂が落ちる。
本来ならばそれはそのまま海の中へと消える雫となるはずだった。

だが、その魂は違った。
溶け合い、混じり合いはしたが、消え行くことはなかった。
むしろ、落ちた場所を基点に、周囲の魂を取り込み、増大し、膨れ上がる。

眠りの皇帝。
それを完全に目覚めさせ、覚醒させるには三つの条件が必要であった。

一つは器となるべき正統なる後継者の魂。

一つは膨大な数の魂。

そして最後に眠りの皇帝の証たる二つの指輪。

あの時、肉体は滅び、魂となった彼であったが。
条件だけを見るならば、それはすでに整っていた。

二つの指輪は魂と混じり合い、決して消えないよう強固な守りを築き
あの時、彼が倒したヴェルトハイム=ヴィンテンブルグより噴き出した無数の魂
それの回収に成功した者がいた。

全てがこうなるように仕組まれていたのか、どこからどこまでが彼の計算であったのか。
真実は不明だが、ただ一つ確かな事は“当初の目的”は達成されたという事。

彼が望む完全なる眠りの皇帝の誕生。

「さて――」

彼は微笑む。

今、自らの前にて生まれ落ち、この世に誕生する生命を祝福するように。

「ディゼル=オウディラスという人物は死んだ。
それは紛れもない真実であり、事実。
けれど、彼の魂に刻んだ仕掛けは発動した」

それはまさにこの物語の始まりに仕組まれた運命。

「二つの指輪の力を介して、彼の魂は、魂の海に解け落ちながらも
その核となる部分は溶けず、交わらず、消えず、周囲の魂を吸収し
本来あるべき“皇帝の魂”として最誕した。
さしずめ、海に落ちても溶けない宝石のように」

そう、全ては最初に彼が望んだ通りの結末。

「けれども宝石の色は変わる、その本質も。
白く純白で穢れないパールは今、漆黒のダマスカスへと変貌するように」

それはある意味でディゼル=オウディラスであって、
ディゼル=オウディラスではない別人であろう。

ディゼル=オウディラスと言う本来の人物。
その彼のかりそめとしてコピーとして人形遣いに生み出された人物。
そして、今、それらとも異なる第三の彼が生まれた。

「ようこそ、歓迎するよ。
僕の一部、“神の代行者(トゥアハ・デ・ダナーン)”に」

自らの前に誕生した“君”を見て、純白の青年は笑みを浮かべる。

「記憶の方は…ああ、あるわけないか。なにせ君は“今、生まれたばかりだもんね”
けれど、これだけは分かるだろう?」

言って彼は笑みを浮かべ宣言する。

「僕が、君の主だ」

ディゼル=オウディラス。
君は自らの前にいる純白の男に対し、ひざをおり、その忠義を現す。

「僕の名前はヴァイス。“この世の白”この世界の代行者。
それじゃあ、今後は僕の片腕として、よろしく頼むよ」
“神の代行者(トゥアハ・デ・ダナーン)”第六代行者ディゼル=オウディラス」

GM:君は自らの仕えるべき主にひざをおり、その忠義を尽くす。
だが、心のうちでどこかで君を呼ぶ声が聞こえる。


――ディゼル――

――お前は、私のものだからな――



GM:その声は誰のものであったか。
分からないが、魂の根幹に根付いたそれを振り払うように君は言う。

ディゼル:「…仰せのとおりに――」

GM:君のその返事に“この世の白”ヴァイスは満足気に笑みを浮かべる。

今ここに一つの悲劇的結末(デウス・エクス・マキナ)は終わりを告げる。

だが、それは新たなる破滅の始まり。

最強の魔王、眠りの皇帝ディゼル=オウディラスを手に
世界の消滅を願う、至高の干渉者ヴァイスは高らかに笑い声をあげる。


やがてそれは大いなる戦いの大いなる物語へと続く、序章であった――。


エスペランサー眠りの皇帝編
〜Fin〜


 
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