約束の地編 第7章 創世記

◆ミドルシーン4 〜聖地へ捧げる鎮魂曲〜
GM:クリストファー=ベルナードを倒し、今ディゼルの目の前には
約束の地へと繋がる扉が、その門を開いていた。
そして、その門の前に立つ君の隣にアリスが静かに歩み寄る。
その表情は涙を堪えた様子だった。
「…ディゼル…その…あの…私……」
なんと声を掛ければいいのか分からないと言う風にアリスはそう、もごもご言ってる。

ディゼル:「アリス……いいんだ」
どこか震える彼女から感じられるのはそう、罪悪感なのか。
「こうなったのは君のせいじゃない――誰のせいでも」
自分の体が崩れる音が静かなこの場所に響かぬよう言葉を続ける。
「僕はこの物語を終わらせる。もう、そのためだけに生きているのかもしれない。
だからアリス、そんなに自分を責めないで」

GM(アリス):「…ばかぁ!どうしてもお前はそんなに優しいんだ!
お前がそんな風になったのは私のせいでもあるのに…なんでお前は…!」
君に抱きついてぽこぽこと力のない腕で君の胸を何度も叩くアリス。
「…そうじゃないんだ…やっと気づいたんだ…。
私は…私は、ただお前ともっと一緒にいたんだ…。
だから…いやだよぉ…、どこにも行くなよぉ…でぃぜるぅ……」
叩く腕はいつのまに君の背に回り、彼女は泣き顔を見られたくないのか
君の胸に顔をうずめてそう言った。

ディゼル:この物語に幸せな終焉が迎えられるなら、どんなに、どんなに幸せなことか――
「ごめん…でも僕はいかなくちゃ…」
背中が――熱い。

GM(アリス):「………」
君のその言葉の重みを誰よりも理解しているのだろう。
彼女はそっと君から手を離した、そして――
「――ディゼル」
彼女は君の顔を両手で掴み、その場でうんと背伸びをして、その唇を重ねる。

ディゼル:…!

GM(アリス):「…お前は、私のもの、だぞ」
どこか照れくさそうにしつつも真っ直ぐにアリスは君を見て宣言する。
「だから、私の知らないところで勝手にいなくなるなんて…許さないからな。
…私も一緒にいく。お前と、とう様との戦いの決着を見届ける。
それがあの人の娘であり、お前を選んだ私の役目…だから」
少し頬を染めてアリスはそう言う。
 
ディゼル:出来事に呆然としていたディゼルだったが
アリスの「こらっ、しゃんとしろっ」という声に我に帰る
「…ぁ、うん! 行こう一緒に…!」

GM(アリス):「――うん!」
それはディゼルが見た彼女の心からの笑顔。
今までは心の奥に影があった彼女の表情はもう無い。
彼女は君にだけ見せる心からの笑みを浮かべた。

ディゼル:歩き出しちゃっていいのかしら?(笑)

GM:そして、君とアリスが改めて扉の前に立ち
そこへ入ろうとした瞬間に後ろから“二人の仲間”が合流する音が聞こえる。
まだ合流があるぜ!(笑)

アルジェント:おいてくなよ。

ディゼル:おお

GM(ザック):(「オレも忘れてもらっちゃ困るっすよ」)

ディゼル:ザックン!

アルジェント:「どうやら無事なようだな」

サクス:「ふん、お前たちも生きていたか。まあ、まずは何よりと言っておこう」

アルジェント:あ、そうだ。ディゼル、あとでラインが死んだって事、アルジェントに教えて。

ディゼル:直接死んだ場面は見てないけどね(笑)

GM:まぁ、でも魂となって君の前に現れた事から死んだと言う事は知ってていいよ(笑)

アルジェント:ラインの魂は彼が開けた扉から“約束の地”へ行ったから
アルジェントは気づいてないんだよね。と言うわけでお願い。

ディゼル:了解〜。

GM:とりあえず、これで全員合流ですね〜。
では話しを進めますが、今、君達の前にそびえる最後の場所へと続く門。
その門の向こうから次元の壁を隔てて感じられるかつて無い圧倒的な存在力、魂の脈動。
それはあの時、幻影として対峙したときとは比べ物にならないほどの“彼”の力の奔流。
間違いなく、この扉の先――約束の地にて彼は完全なる復活を遂げている。

アルジェント:「予想はしていたが、これほどのプレッシャーとはな…」

GM(アリス):「…とぉさま」
アリスもその圧倒的な魂を受け、静かに呟く。

アルジェント:「ザック、お前はフェザードに戻り
ヴァルター、シュトルム、クリストファーの討滅――
オペレーション・フォーマルハウトの成功を報告してくれ」

GM(ザック):「了解っす。アルジェント様、サクス兄貴、それにディゼルさん。どうぞ、ご武運を!」

サクス:「ああ、お前の担う役目も国政に大きく影響する大切な役目だ。しっかり果たせ」

GM(ザック):「はい!任せてくださいっす!必ず皆に伝えますよ!
それと皆さんもどうぞ、ご無事に帰って来てくださいっすよ!」
君の言葉を聞き終え、ザックは君達に敬礼をして
懐に持っていた最後の空間水を使いこの場より消える。

サクス:走って帰るかと思った(笑)

GM:そして、この場に残ったのは君達四人。
それは最初にこの物語を始めたときと同じ面子。そして物語最後を告げる面子でもあった。
アリスは隣にいるディゼルの手をぎゅっと握り、君の瞳を見て告げる。
「行こう、ディゼル」

ディゼル:「うん、行こう」
アリスのその声に、応え、今最後の戦いへと赴く!

アルジェント:ラインのことおせーて。

ディゼル:ここでか(笑)
誰それが死んだとか言いづらくない…(笑)

アルジェント:だってこの後ラストバトル入っちゃうもん。

ディゼル:なんかこうザックがいる間にそういえばラインはどこにいるんだとか
ザックに聞く感じでディゼルが横から告げるとか想像してたぜ…!

GM:または約束の地に入って、魂の行き交う場所を見て
ディゼルがアル達に「ここは人の魂が行き交ううんたら〜」で
「さっきライン君も僕を現実世界に戻すため〜」とか言う感じは?(笑)

アルジェント:あ、それもいいね。

ディゼル:なるほど、説明キャラ(笑)確実な死が待ってるな(笑)

GM:説明&NPCの死を教えるキャラ(笑)
では、約束の地へ向かうでOK?

アルジェント:OK。

ディゼル:ほいす。

GM:では君達四人は最後の決戦場。
物語最後を告げる場所・約束の地へと向かった。

――そこはこの物語最後の悲劇が待つ終焉の地。


◆GMシーン 〜魂が終わり始まる場所〜
「シュトルム、ヴァルター、そしてクリストファー」

彼は静かにそこにいた。
光り輝く聖なる空間。魂が行き交いする場所の中心地。
その場所に彼は立っていた。

「三人共よく戦った」

その彼に一際強い輝きを持つ魂が三つ、彼の体へと還元される。

「君達の魂に敬意を表そう」

そう彼は口にした。うわべだけの言葉ではなく
本心から彼は三人の魂と存在、その生き方に敬意を表していた。

そして、それを踏まえ、彼は三者の魂を喰らい、その身に同化させた。
永遠となる自分自身の一部となる事を許可したのだ。
無論それは彼の傲慢に過ぎない。
だが彼に取ってはその行為こそが彼らへの最高の栄誉の証。

約束の地の中心で彼はすでに幾千、幾万の魂を吸収していた。
そして先程の三者の魂を得てその身はすでに幻影などではなく
物質的な肉体を持った一人の人間として再誕していた。

「――素晴らしい」

靡く髪は深い灰色の髪。18年ぶりにその体を包む漆黒の制服。
そして、その肩に掛かるのは聖十騎士団最強者の証たるマント。

彼は恍惚にその魂を震わせていた。
それは18年振りに完全なる肉体を取り戻した事にではなく
幾万もの魂を吸収したからでもない。
それはかつてない闘争にその魂を震わせていたのだ。

「――やはり素晴らしい、アルジェント、サクス。
聖十騎士団最強と呼ばれた三騎士に勝つとは」

彼の魂には先程まで激戦を繰り広げたクリストファー、シュトルム、ヴァルターの
三人の記憶が入って来ていた。それは魂をも震わせるが如き烈火の激戦の記憶。

「そしてディゼル――やはり君は素晴らしい。
ナイトブレイカーを扱い、クリストファーの支配をも断ち切り
眠りの皇帝の力も継承しつつある」

歓喜。それはこの混沌が久しく感じなかった感情。
自身と比べる者、並ぶ者が無かった彼に取ってそれは初めての感覚だったかもしれない。

「我が目的成就の前に、このような感覚を味わえるとは思わなかった。
故に戦う前に君達へ感謝の言葉を伝えておこう」

「ありがとう」

そう言って彼は振り返る。

そう今、ディゼル・アルジェント・サクス・アリス。
君達の目の前に最後の敵―――彼はいた。

「では、こうして肉体も再臨を果たしたところで
改めて自己紹介をしておこう」


「我が名は聖十騎士団第十騎士“這い寄る混沌”ヴェルトハイム=ヴィンテンブルグ」

それはかつて無い圧倒的な魂を震わせる存在感を持って
彼、ヴェルトハイムは名乗った。

今、悲劇の物語最後の戦いが始まりを告げた―――。


『聖十騎士団』

―――― DEATH   8/10
     REBIRTH  3/3  ――――


◆クライマックスシーン 〜創世記〜
GM:そこは光り輝く美しい世界。
上下左右の感覚はなく、ただ光り輝く無限の地平線のみが存在した。
そして、この場所を行き交いする無数の光の粒子。
その粒子はまるで意志を持っているかのように光を放ち約束の地の最深部へと
行き交いをしている。自然と君達はその粒子に目を奪われる。
まるで魂を惹き付けるかのような何かがあるかのごとく。

アルジェント:「ここが…約束の地…」

GM:ディゼルさん、説明役の出番ですぜ(笑)

ディゼル:くっ、いざとなるとどうしたもんやら(笑)
「僕たちの魂が最期に往きつく場所…だそうです…」
まずは軽く無難な説明を…!

GM:そしてそこから広がっていくのさ!(笑)

ディゼル:どうしたらラインの死の説明にいけるのか(笑)

GM:「そう、君には話したな。ディゼル。
ここは全ての魂が還るべき場所へ向かうための唯一の“道”だよ」
不意に君達に対し、そんな一言が掛けられる。
それと同時に君達を襲う圧倒的存在感。

アルジェント:「ヴェルトハイム…!」

GM:そう、見ると君達の眼前に一人の男が存在した。
その男の姿を君達は始めて見る。にも関わらず君達の魂は眼前の男の事を知っている。
この混沌のような存在感を。
「では、こうして肉体も再臨を果たしたところで改めて自己紹介をしておこう。
我が名は聖十騎士団第十騎士“這い寄る混沌”ヴェルトハイム=ヴィンテンブルグ」


サクス:イケメンじゃないか、もっと化け物であれと思っていたのに…!
これじゃあ、憎めないよ!

GM:背後には化け物じみたシャドウが出るから大丈夫だよ(笑)
「さて、先程のディゼルの言葉を続けるならば、ここは向こうの
君達の世界エル=ユーナで死した者達の魂が全てが通るべき場所だ。
すでに知っているとは思うが、我が称号能力は“魂の吸収”。
この約束の地において私はすでに半年間、ここを通る全ての魂を吸収してきた」

ディゼル:なんという優しいラスボス…!説明台詞を次いでくれるなんて!(笑)
「……まさかライン、ラインもお前に――?!」
これでアルジェント突っ込める!(笑)

GM(ヴェルトハイム):「ほぉ、さすがに気づいていたか、ディゼル。
ああ、彼の魂がここに来たときは私も驚いたよ。
だが安心したまえ、彼の高潔なる魂はいまや我が魂の一部となった」
微笑みを浮かべ一切の悪意すら纏わず彼は言った。

アルジェント:「ライン…そうか…ラインは……」
ぐっと唇を噛み締める。
「ディゼル、ラインは…お前を助け出すために…」

ディゼル:「はい…彼は、僕を呼び戻すために…。
でも、彼の力を受け継いだのはヴェルトハイム、お前だけじゃない!
僕も彼の…彼の最後の意志を受け取った!」
これで<帝眠>使わなかったらイベントクラッシャーもいいとこだよね!

GM(ヴェルトハイム):「ほぉ、それは楽しみだ。
君の魂の輝き、あの時もよりも更に輝いているな」
ディゼルの言葉を受け、ヴェルトハイムは満足そうにそう返した。

アルジェント:(俺がラインの決意の知っていたら、果たして止めただろうか…。
いや、止めなかっただろう。自分にできることを、自分の役目を、
最後まで果たそうとしたあいつを…俺は止められなかっただろう)

GM(ヴェルトハイム):「さて、こうして再び対峙できた事だ。
私も君達との最後の戦いを開幕したところだが
その前に君達へ私の目的を伝えておこうと思ってね」
言ってヴェルトハイムはいつかの対峙を辿るように続ける。
「私が以前言っていた言葉を覚えているかな?
君達のいる大陸・ムーヴェリアスに存在する全ての人々の魂を回収すると」

アルジェント:「そうだな、到底許容できるものではない」

GM(ヴェルトハイム):「まあ、君達からすればそうであろうな。
だが言っておこう、これは我が目的成就の為の手段にすぎない」

「私の最終目的、それは―――世界を創りかえる事だ」

アルジェント:「大きく出たな」

GM(ヴェルトハイム):「もっと言うならば世界を自在に創生する力を得る事かな」
それはもはや常識や基盤を無視した荒唐無稽の遥か先、完全に人の領分、思考を逸脱した
ある種、神の如き思想を持つ者の行き着く答えだった。
「不可能だと思うかね」
彼を微笑みを浮べて君達へ聞いてくる。

ディゼル:「なぜそんなことをする必要があるんだ。
今ある世界を壊してまで…そんなにも力が欲しいのか…!」

GM(ヴェルトハイム):「そうではないよ、ディゼル。私は力が欲しいわけではない。
私は…“私の居場所”が欲しいだけだ」 言ってヴェルトハイムは続ける。
「既存の世界、つまりこの世界エル=ユーナは一人の神、女神の力により生まれ支えられている。
そう、この世界にはその女神が生み出したルールやシステムが全てを支配している。
そして、我々はそのルールの範囲の中でのみ存在し、生き、死んでいく。
それはつまり、一人の女神が定めた予定調和の中という事」
言ってヴェルトハイムは嘆くように、顔を背ける。
「なんという惰弱な世界、人生であるか。
全ては今存在するたった一人の女神から与えられし生、世界に過ぎない」

ヴェルトハイムは続ける。

「我が本質にあるのは欲望。このような誰かから与えられた箱庭の中の世界での生に満足するほど
私の存在は惰弱ではない。そう、息苦しいのだ。この世界に生れ落ちた瞬間から
私には全てが息苦しき、呼吸もままならず、動くことさえ出来ぬ箱庭の揺り篭」

それはまさに本来この世界に生まれるはずのないあまりに強大すぎる存在に訪れたジレンマ。
鳥かごの中に押し込められた鷹のように。水槽の中に生まれた龍のように。

「世界が私にとって息苦しく狭き場所ならば
その世界そのものを私の為に創世し直す」

GM:それはまさに己こそが新たなる世界の神であるかのような
傲岸不遜にして天上極まりない物言い。
「しかし、このような事を言っても君達には理解できないだろう。
故に、私がどうやって世界を新たに創り返るか、その方法を教えてやろう」
言ってヴェルトハイムはこの約束の地の最果てを見据える。

「そもそも何故、この世界が生まれたのか。
それは全て一人の女神の意志――“理(ロゴス)”により生まれた」

「彼女の生み出した“理”が形となり、それがこの世界を形成し
システムからルール、全てにおいて形を為した」

「ならば、その彼女と同じ領域、魂と器を手にすれば
私も己の“理(ロゴス)”を展開し、新たなる世界の創世が成せるという事」

「この世界には魂の海と呼ばれる全ての魂が収束、交わる場所が存在する。
君達の世界で人が死ねば、その魂はこの約束の地を通り
その魂の海と呼ばれる場所へと帰還する」

「魂の海に存在する魂とは過去、神話の時代より生きた無数の魂が眠る地。
今、世界に生れ落ちている魂も全てはこの魂の海より汲み取られ
零れ落ちた魂達に過ぎない」

「ヴァイス。“この世の白”と呼ばれる世界の最高位の干渉者。
彼よりこの世界システムを聞かされた時に、私はある事を理解した」

「もしも、その魂の海に存在する全てを喰らい、この身と一体化する事が出来れば
それは即ち世界全てを包むほどの器となるということ」

「そう、神話の時代から現在まで、全ての魂が内包された海には
かつて世界を支配した神王クレイムディアの魂や
世界を滅ぼした魔王アルトサウディウスの魂の残骸すらも存在する。
それら全てを受け入れ吸収した暁には我が魂も、その器も
世界神エルドラシルと同位の存在にまで昇華されよう」

「そうなってしまえば、私が新たなる世界の創世を行い。
既存のこの世界の全てを破壊しよう」

アルジェント:「お前自身が世界となる気か…!」

GM(ヴェルトハイム):「その通りだよ、アルジェント」
混沌の神たる笑みを浮かべ、ヴェルトハイムは答える。
「これは君達にとっても悪い事ではあるまい。
私が世界となった暁には魂と言う概念は消え去る。
何故なら、私が司るのは混沌。全ての魂を吸収し統括する能力。
私が新たなる世界となった暁には全ての魂は我が一部となり、私の中で統括。
それは即ち、私と言う世界の中で君や君の知る全ての者達が混じり合い存在し続けるという事。
我が中にあるラインやレスト、彼らと共に無限の生を生きることが出来る」
更にヴェルトハイムは続ける。
「無論、それだけではなく。私の内に渦巻く君やラインと言った者達の魂を
新たに形として生まれ落とす事も可能であろう。
完璧とは言えないが容姿・性格・魂、それら全てを限りなく再現して作り出そう」
それはまさに万物を司るまさに神の如き所業。
しかし、それはあくまでも彼を基盤として生み出される存在。
それはもはや君であって君ではない別人。彼が生み出す君を模倣した存在に過ぎないであろう。

アルジェント:「違う…それはラインやレストじゃない。
ただの…お前の一部だ。ラインやレストや母さんは、精一杯生きて、そして死んだ。
その生きた事にも、死んだことにも意味がある。それを奪うことは絶対に許しはしない!!」

GM(ヴェルトハイム):「ふむ、否定するか。まぁ、それも構わない。
所詮はこの世界の理に沿って生まれた君達と
“そこから逸れて生まれた私”との見解の相違に違いないからな」

アルジェント:「それに、お前の言っている世界はお前一人しかいない孤独な世界だ。
一つの星すらもない暗黒の世界。そんな世界を俺は見たくはない。
世界は数多の星が輝くからこそ美しい。俺はその輝きを護る」

ディゼル:「確かにもう一度会えるというのなら会いたいさ…。
でもそれは、死にゆく人が残していった気持ちを無駄にするってことになる」

GM(ヴェルトハイム):「ふむ、確かに君達の考え方も道理であろうな。
私が創生する世界において私以外の存在に意味はなく、全ては我が一部にすぎない。
そうした中で個々の生や死に感じ入るものなど存在しなくなる」
そう全てを納得したようにヴェルトハイムは頷く。
「よかろう、君達の考え、よく分かったよ。
だが、私とて己の欲望、望む世界を得るためにここまで来た。故に引き下がる事は出来ぬ」

サクス:「…ふんっ、ならば道は一つしかあるまい」

GM(ヴェルトハイム):「フフッ、その通りだな。では最後にもう一つだけ教えておこう。
我が能力は魂の吸収と言ったが、それは死した魂のみの吸収。
その能力では大陸に生き残る人間達の魂など吸収できない。そう思うだろう?」
含みを持たせヴェルトハイムは続ける。
「だが肉体が戻った今、私は取り戻したのだよ。そう、我が“第二称号能力”を」

アルジェント:「まさか…!」

GM(ヴェルトハイム):「そうだ、アルジェント。君の予測通り
我が第二称号能力とは――“生者の魂の吸収”。
これが発動すれば、例え死していなくとも彼らは私に魂を吸収される」

「そうこんな風に、ね」

『どくんッ』

それは空間そのものが脈動するような圧迫感。

それと同時にヴェルトハイムを中心に渦巻く混沌の気配。
ただ対峙しているだけで全てを包み込むその威圧感が
まるで、全ての魂を引き寄せられ、一つとするような感覚へと変貌する。

そして、それはこの約束の地と現実世界を繋げるあの門を通し
大陸の全てへと流れ込んで行く。

◆    ◆    ◆

――フェザード王国

そこでは報告を終えたザックがシアリー、ダグラス達と合流していた。

「そっか。じゃあ、後はアル達を待つだけだね」

ザックの報告を受け安心したようにシアリーが呟き
それにダグラスもまた同意をする。

「ああ、奴らでなら何とかしてくれるだろう」

「そうっすよ!ディゼルさんも帰ってきましたし、これで――」

その言葉を続けようとした瞬間、突如ザックが倒れる。

「!ザック!どうした!」

ディゼル:ザックぅぅうう!!

アルジェント:まずお前か!

「…わ、分からないっす……当然…魂が抜かれる…ような………」

ディゼル:死んでねぇ(笑)叫んで損した(笑)

ダグラスの腕に抱かれたザックから生気が失われていく。
外傷は無い。ダグラスは目の前で起きる現象に困惑する。

GM:いや、ほっとけばマジで死ぬから(笑)

ディゼル:なる(笑)

見るとこのフェザード王国に存在するほとんどの兵士、人間が倒れていっている。
皆、各々呻き声や叫び声をあげ地面に倒れたまま、やがて動かなくなる者もまた…。

「これは…くッ」

そして、ダグラスも自身を襲う圧倒的な倒錯感を感じる。

「…そうか……これが…奴の…真の力……ッ」

「…ダグラスさん…!気をしっかり…、大丈夫…だよ」

ダグラスの背後で倒れそうになったシアリーは
必死で自分の身体を支えながら、彼に言う。

「アルが…皆が彼を倒してくれる…それまで、私達がしっかりしていれば…!」

「……ああ、そうだな……」

シアリーのその言葉を受け、ダグラスは必死に自らの意志を固める。

「――ディゼル……私達の魂を…頼んだぞ……」

◆    ◆    ◆

GM(ヴェルトハイム):「今、我が能力が君達の大陸に届き
その魂の回収を始めた。さぁ、もう時間はないぞ」

アルジェント:「とんでもないことをしてくれるな、ヴェルトハイム…!」

GM:すでに圧倒的な魂を放っているはずのヴェルトハイム。
その彼が更にその魂を増大させているのを君達は本能で理解する。
「全ては私自身が新たなる世界となる為の犠牲に過ぎない。
ムーヴェリアスに存在する全ての者達の魂を吸収すれば
我が器と魂は魂の海そのものを飲み込むほどに昇華しよう」
君達の目の前のヴェルトハイムと対峙しているだけで
その魂を徐々に彼に吸収されているのを皮膚で感じる。

アルジェント:(時間をかけるわけにもいかなくなったか…。
シュトルム戦のように悠長にはできないな。
もっとも、シュトルムの記憶を吸収した奴に同じ戦術は通用しないか…)

GM(ヴェルトハイム):「安心したまえ、君達の魂も私の中で統合してやろう。
そして、その時にこそ、私は世界そのものとなる“理(ロゴス)”へと到達する。
そう、第三の――“最後の称号能力”を私は得る」
それはまさに全ての能力を超越した、最終最後の世界全てを覆い新たに創生する
規格外の領域への到達。
「宣言しよう。私が最後に到達する、最後の称号能力の名。
世界そのものと一つとなる理、《輝くトラペゾヘドロン》を」

アルジェント:うおお!来た!輝くトラペゾヘドロン!

《無貌の神》 タイミング:クリンナップ 対象:射程内の全て 射程:無限 消費精神:−
それは生者の魂をも吸収する無限の混沌。
毎ターンの最後にヴェルトハイムより生者の魂を吸収する力が発動する。
これによりヴェルトハイムと対峙する者はレベルそのものを吸収される。
この効果によりレベルが0となった者は即座にヴェルトハイムに魂を吸収される。

《輝くトラペゾヘドロン》 タイミング:− 対象:− 射程:− 消費精神:−
全てを吸収し、世界の理をもその身に得、造物主たる力を得た神の称号。
以下の条件が全て揃った時に発動可能。
・ターン数が5ターン以降を経過している。
・ヴェルトハイムが受けたダメージの総計が800以上。
・ヴェルトハイムがPCの生命力・精神力に与えた(吸収した)ダメージの総計が200以上。
世界の理にして神なる力、造物主たる証。究極位置の能力。
“這い寄る混沌”ヴェルトハイム=ヴィンテンブルグのみが到達する最終称号能力。

GM(ヴェルトハイム):「さあ、これで準備は全て整った」
謳うように彼は宣言する。

ディゼル:効果はわからないのか(笑)

GM:到達してからのお楽しみ(笑)
君達は倒れそうになる魂を必死で引き戻し、目の前の最後の敵を見据える。
「さあ、ディゼル。私と君の最後の戦いを始めよう」
その宣言と同時に彼の手に生まれるのは漆黒のナイトブレイカー。

ディゼル:ディゼルは刃を白く輝かせるナイトブレイカーを持ち
ヴェルトハイムと対峙する。

GM:君の隣ではアリスもまた君の服をぎゅっと握り
決意を決めた瞳で父、ヴェルトハイムへと宣言する。
「…お父様。私は今の世界が好きになった。ディゼルの事が好きになった。
だから、今あるものや、世界を奪おうとするお父様とは行けない」
ハッキリと決別を胸にアリスは宣言する。

「――私はディゼルの傍にいる」

そのアリスの言葉を受け、ヴェルトハイムは納得したように笑みを浮かべる。

「お前が選んだ道ならば、それで構わん。ディゼルの傍で彼の勝利を願うがよい
最も実現するかどうかは別だがな」

言ってヴェルトハイムも構える。

「では始めようか。これが我らの最後の戦い。
魂を掛けた全ての決着の幕開けだ!」

圧倒的魂の力を解放し、ヴェルトハイムの世界すら揺るがす咆哮と共に
最後の戦いが始まりを告げる。


 
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