アヴェスター教会総本山編 第11章 蘇る三騎士

◆クライマックスシーン2 〜蘇る三騎士〜
GM:全てを聞き終えたクリストファーは静かに、いつもと変わらぬ落ち着き払った態度を持って対する。
「…やれやれ、まさか君とラインさんが裏でそんな事をしていたとは…。
確かに僕の最後の詰めを君に折られてしまいましたね。アルジェント君」

アルジェント:「俺の抜け目の無さを褒めてくれたのは、どこの誰だったかな?」

GM(クリストファー):「それは確かに。どうやらこれは君への評価を更に上げないといけませんね」

アルジェント:「殺すのが惜しくなったか?」

GM(クリストファー):「まさか、君にはますますここできっちりと死んでいただきますよ。
やはり君は生きている以上“僕とあの御方の計画”の邪魔になりますからね」

アルジェント:「だろうな。だが、そう上手くいくと思うなよ。
こちらには、お前の策を上回った『絆』がある」

GM:君のその発言を現すように、アルジェント、ディゼル、サクス、そしてラインという
仲間達が各々構えを取ってみせる、と同時に。
「あっはっはっ!珍しく君が追い詰められているね。クリストファー」
そんな風に哄笑を上げながら、クリストファーの背後より銀の髪の少女が現れる。
それは先ほど、アルジェントが迎撃をした第二騎士シュトルム=ウント=ドランク。

ディゼル:またきた(笑)

サクス:ひっこめ(笑)

GM(シュトルム):「クリストファーの策を上回るなんて…。
力だけじゃなく智謀も兼ね備えている辺り、ますます魅力的だね〜、アルジェント」
艶かしい表情と共に彼女舌なめずりを持って君を見る。

アルジェント:「ちっ、こんなに早く回復してくるとはな…」

GM(クリストファー):「…まあ、確かに“約束の地”が開かれなかったのは
計画から少々外れました。しかし――」
静かにクリストファーは君達を見る。
それは敗北者の瞳ではなく、むしろその逆、勝利を確信した者の瞳。
「見事ですよ、アルジェント君。僕にこの“最後の切り札”を使わせたのは」
その瞬間、クリストファーの瞳はこれ以上ない冷徹な冷酷な光を宿す。
「今ですよ…――――さん」

「ディゼルを、殺しなさい」

サクス:ちょ

GM:そのクリストファーの発言と同時だった。
ディゼル。君は背後から来る“それ”に気づいた。
だが、気づいただけで動けなかった。

ディゼル:あうあう(笑)

GM:それは君にとって信じられない光景だったからだ。
そう“彼女”の持った刃は君の胸に―――

“どすんっっ”

ディゼル:「な…ん…」 アリスきたな(笑)

GM:君の胸には――入らなかった。
その刃は、君の眼前にて君を庇った…フェティの胸に入った。

ディゼル:「……ッ」

GM(フェティ):「……ぁ―――」

アルジェント:そうだ、しまった。忘れてた。フェティがいるんじゃないか…。

GM:静かにフェティは倒れた。
そして倒れたフェティの向こう側にいたのは――そう、刃を持ったアリス。

ディゼル:いえい!あたったぜ♪
(´・ω・`)素直に喜べねぇ…。

GM(フェティ):「…ディゼル…さん……」
胸から血を流しながらフェティは君を見て呟く。

ディゼル:「フェティさん…そんな…うそだろ…?!」
倒れるフェティを抱えつつアリスを見るが、明らかに様子が違う、
ましてや、彼女がもつ“それ”が今までの彼女とは違うということを明確に表していた。

GM(フェティ):「…あ、アリスさんを…恨まないでくださいね……。
彼女には…きっと…理由が…ある…はずですから………」
君に抱えられながらフェティは必死に最後の言葉を紡ぐ。

ディゼル:「どういう意味ですか…フェティさん?フェティさん!!」
その彼女の言葉の意図を聞き終える前にフェティは気を失うんですよねGM?

GM(フェティ):「…私…ディゼルさんに会えてよかったです…。
おかげで私は…私の意志で戦えた……」

「ありがとう―――……」

GM:その言葉を紡ぎ、フェティは静かに瞳を瞑る。
同時に彼女の魂がディゼルの腕の中で無くなっていったのが
ハッキリと感じられた。気を失うどころか永眠しちゃうけどね(笑)

ディゼル:(´・ω・`)「そんな…うそだろ……」

GM:顔文字(笑)

アルジェント:そのセリフ言ってるの誰だよ。

ディゼル:中の人あたり

サクス:(笑)

ディゼル:で、アリスは傍目から見て正気は保ってそうな感じ?

GM:保ってますね。

ディゼル:「アリス…どうし…」
まともにアリスの顔を見ることさえできず、弱弱しくそう問いかける。

GM(アリス):「…ぁ…ディゼル…私は…私は…」
その手には血塗られたナイフを握り、ディゼルを襲い
フェティを殺した事に罪悪感を感じているのは間違いない。
だが、彼女は瞳の奥で必死に何かを求め訴えている。
たとえ、君達を失う事になっても求めているであろう何かを。

ディゼル:「アリス…」

GM(クリストファー):「ご苦労様でした、アリスさん。
貴方の役目は十分に果たしましたよ。そして貴方のおかげで無事に
四人目の聖十騎士団の魂が捧げられました」

アルジェント:(しまった…!)

GM:クリストファーのその発言と同時にアリスは瞬時にクリストファーの隣へと転移される。

ディゼル:そういやレストも捧げられたのか。

GM(クリストファー):「お教えしましょう。アリスさんは“最初から僕の仲間”だったんですよ。
そう、眠りの皇帝の為の誓いの指輪。それを彼女に持たせたのは僕。
そしてアリスさんとディゼル。君達が出会うように仕組んだのも僕。
君達が旅の間に『絆』を生んでくれる事も全て、計算の内でした。
おかげでこの最後の切り札の重要性が増しましたよ」

ディゼル:クリストファー…なんて策士家…!

GM:間違いなく、このシナリオ中最強の策士ですね(笑)

アルジェント:プレイヤーが対抗心を燃やしております。

GM(クリストファー):「そして、これで形勢は逆転します。
そちらのアルジェント君は気づいているみたいですね?
四人目の聖十騎士団が捧げられた事の意味に。
そう、レストとフェティ、二人の魂と肉体を捧げ――復活は為される」
その瞬間、クリストファーを中心に禍々しい気が放たれる。
それは時空を穿つ穴。死の世界とこちらの世界をつなげる穴。

アルジェント:「くっ…二人目が…復活する…!」

GM(クリストファー):「さあ、黄泉還るがいい。
かつて聖十騎士団の中で最もその力を誇った側近中の側近――」

「聖十騎士団・第八騎士。
“災いの拳(レーヴァンテイン)”ヴァルター=オデッサイス」

GM:そして、それは降臨した。
“どごおおおおおおおおおおおん!!”
漆黒の一撃。それは降臨すると同時に周囲の全てを吹き飛ばし薙ぎ払い
そして立ち上がった。黒き制服を身に纏った男。
だがその男から感じられるのはかつてないほどの恐ろしい威圧感。

サクス:!!

GM:そしてサクスはその威圧感を誰よりも知っている。
そう、今、目の前に居る男は――18年前に死んだ君の友・最強の敵。
さらだばの騎士・ヴァルター=オデッサイスなのだから。

サクス:さらだば(笑)

ディゼル:さらだば(笑)

アルジェント:やると思った!

アルジェント:壁にもたれながら煙草に火をつけるのが似合いそうな男だ。

GM(ヴァルター):「…どういうつもりだ。クリストファー」
再臨したヴァルターは開口一番、クリストファーへそう声をかける。
「こんな形での復活などオレの望みとは違うぞ」

サクス:「ヴァルター……よりによってお前か……」

GM(クリストファー):「ええ、お気持ちは察しますよ。ですが、こちらにも予定があるのです。
貴方は貴方の目的を果たせばいいでしょう?」
そのクリストファーの言葉にヴァルターは静かに君達…否、サクスの方を振り向く。
「…久しいな、サクス」

サクス:「ヴァルター、会いたかったぞ。ただし俺はあの世での再会を願っていたがな」

GM(ヴァルター):「フッ、この世界にはあの世などというものは無い。
だからこそオレはこうしてここへ戻ってきた」
そう言うヴァルターはゆっくりとクリストファーたちの下へ行き、改めて君達と対峙する。

サクス:「…ふ、ははっ、まあいい。それでお前はどうするつもりだ?
そこにいる人形遣いの臆病者と一緒に俺たちを始末するのか」

GM(ヴァルター):「…オレの望みはただ一つだけだ、サクス。
もっともこの現状ではその望みは次に繋げるしかなさそうだがな」
そのヴァルターの台詞を次ぐようにクリストファーが再び口を開く。
「さて、では役者も揃った事ですし、君達へ僕の本当の望みをお教えしましょう」
クリストファーは静かに語る。それはいつもと変わらない静かな口調。
「すでにベアトリーチェ様から聞いているのでしょう?
僕はベアトリーチェ様に力を与えた彼――“この世の白”の代理人として
計画を遂行していました。つまり僕の望みも“この世の白”と同じ
眠りの皇帝を継承させる事、そうお思いでしょう?」

「ですが、安心して下さい。皆さん」

言ってクリストファーは告げる。

「僕は最初から眠りの皇帝の継承なんか望んでませんよ」

GM(クリストファー):「そう“この世の白”の代理として、彼の計画を遂行するなど
僕にとっては本当はどうでもいい事なんですよ。
何故なら僕は最初から彼の望みなど叶える気はありませんでしたから」

アルジェント:「やはりお前の目的は…“この世の白”とは別のところにあるのか」

GM(クリストファー):「ええ、おかげさまで苦労しましたよ。
ライン様や“この世の白”それら周りの全てを欺き続けるのは本当に苦労しました…。
僕が眠りの皇帝継承を望んでいないことが“この世の白”に悟られれば困りますから
ギリギリまで眠りの皇帝の継承を引き伸ばししていたのです。
その甲斐もあって“僕の計画”も、ようやく完成に近づきました」
言ってクリストファーはその歩を進め、アリスの後ろに立ち、そっとその肩に手を置く。

「僕の本当の望み、計画、願い。それらは極々単純な事なんですよ」

「そう、こちらのアリスさんと“同じ願い”」

GM(アリス):「………」

ディゼル:「アリスと、おなじ…?」

GM(クリストファー):「18年前から僕とアリスの望みはたった一つなんですよ。ディゼル」
そう、それはこの男。いくつもの仮面を被り続けたクリストファー=ベルナードの本性。
「僕が真にお仕えする愛しき我が真の主人――」

「この“アリスさんの父親”聖十騎士団第十騎士。
“這い寄る混沌(ナイアーラトテップ)”ヴェルトハイム=ヴィンテンブルグ様!
あの御方の復活だけですよ!!」

狂信。

そう、この男の本性は他者を騙しそこに喜びを見い出す詐欺師でもなければ
他人を陥れ殺害する事に狂喜する殺戮者でもない。
ただ純粋に狂信とも言える忠義の信者。
それがこの男・クリストファー=ベルナードの本性。

そして、その彼が主人と仰ぐ存在、それこそが――

アリスの父親。第十騎士のヴェルトハイム=ヴィンテンブルグ。


ディゼル:アリスの父親かぁ…挨拶しなきゃな(笑)

GM:そっちか(笑)

◆    ◆    ◆

今、物語を裏で支配していた第四騎士“人形遣い”クリストファー=ベルナードは
自らの目的を宣言し、追放されし三騎士の内の二人
第二騎士“白銀の狼”シュトルム=ウント=ドランクと
第八騎士“災いの拳”ヴァルター=オデッサイスを両脇に控えさせ、ディゼル達と対峙していた。

フェンリル:そういえばシュトルムはどんな感じ?
さすがに先程の傷が全快ってことは無いとは思うんだけど。

GM:うん。傷は全快していない。確実に戦力はそがれている感じだね。

フェンリル:とはいえ、こいつに参戦されると非常に困るな。

GM(クリストファー):「さて、どこまで話しましたかね。
…ああ、僕とアリスさんの目的と18年前に眠りの皇帝ベアトリーチェがやった
許されない行為についてでしたね」
一息、ついてクリストファーは君達を見下しながら語り出す。

ディゼル:何か月のブランクがあったっけなぁ…(笑)

実はクリストファーが自らの目的宣言をしており、一旦シナリオを閉じ
再開するのにリアルで時間がかかってしまったのである。

GM(クリストファー):「とりあえず、忘れた人は前回までのログを読むといいですよ」

ディゼル:これまたメタな発言を…。

フェンリル:クリストファー、ユーザーにはフレンドリーだなおい…。

GM(クリストファー):「僕は20年ほど前に眠りの皇帝の従属騎士として
“この世の白”より遣わされました。これは眠りの皇帝ベアトリーチェを監視する任務と、
新たな眠りの皇帝を生み出すための生贄となる二つの役割のためですね。
元来、僕は自分の命には執着が無いタイプだったので“この世の白”が下したその命に
逆らう意図もなく、計画の遂行のみを行っていました。
そう、ですから本来なら僕は新なる眠りの皇帝誕生の犠牲として死んでいるはずでした」
その瞬間、それまで冷徹な笑みを浮かべていたクリストファーの表情に別の表情が生まれる。
「そう、あの御方に出会うまでは―――」

それは“恍惚”
自分が心から酔いしれる者へ向ける羨望の表情。

「聖十騎士団第十騎士・ヴェルトハイム=ヴィンテンブルグ様。
あの御方は僕にとって神のような不可侵の存在でした。
あの全てを包み込む存在、まるで深淵そのもののような器を持った人物…。
僕は“この世の白”よりも、ベアトリーチェよりもあの御方に御仕えする真理を得ました」

そこまで言葉を紡ぎ、しかし次の言葉を続けようとした瞬間
クリストファーのその精巧な表情に曇りが入る。

「…しかし18年前、ベアトリーチェが起こしたあの忌まわしき叛乱――
“この世の白”との契約を破る行為によって、僕とあの御方とが引き離れる事となりました…」

そこにあるのは憎しみ。
自らの敬愛する神と崇める人物を奪われた事に対する激しい感情の色。

「あの三騎士の叛乱とは正確には三人の騎士による叛乱ではなく、
こちらのヴァルターさんとシュトルムさんによる叛乱にしか過ぎません。
前回にベアトリーチェさんが言ったかもしれませんが
“この世の白”との契約、即ち聖十騎士団十人の魂を捧げ、息子を真なる眠りの皇帝とする事。
これを破棄する為にベアトリーチェはヴァルターさんに全てを打ち明け
ヴァルターさんは主の願いの為に自ら汚名を被り、反旗を翻したのです」

フェンリル:前回にとか言うなよ…。

GM:プレイヤーには優しいクリストファー(一同笑)。
「一方、シュトルムは単に殺戮という遊戯を行なえる絶好の機会を得て、自分の欲望を果たすために
反旗を翻しました。まあ、最もベアトリーチェも最初からシュトルムがそう言った気質の持ち主だと
理解しており、ヴァルターと共に反旗を翻してもらう為にあえて、手元に置いていたようですけどね」

フェンリル:本人の隣で好き勝手言ってるな…。いや、本人も認めてるんだろうけど。

GM:うん。すっごい認めてる。本人はまるで気にせずナイフいじってる(笑)

ディゼル:(笑)

GM(クリストファー):「そして、ベアトリーチェはここで“この世の白”との契約破棄の前に
最後にやるべき事を行いました。
それが我が主――聖十騎士団第十騎士ヴェルトハイム=ヴィンテンブルグ様の抹殺。
眠りの皇帝たるベアトリーチェは恐れていたんですよ。
自らの配下に存在する、十番目の騎士にして己に匹敵する力を持つ騎士を。
そして彼が持つ、この世全てを飲み込み包み込まんとしている深淵の魂に、その本質に。
自分がいなくなり、この男のみが存在すれば、必ず世界に災いが訪れる。
故にのちの世界の安定の為にベアトリーチェは第十騎士ヴェルトハイムの抹殺を行ったのです」

「故に18年前の三騎士の叛乱は、眠りの皇帝ベアトリーチェが
ヴェルトハイム様を不意打ちまがいに抹殺した事から始まり
それを起としてヴァルターが叛乱し、シュトルムが続いた。
これが真相ということです」

GM(クリストファー):「…さて、長くなりましたね。ですが、ここまで説明すれば
君達にも分かりますね?僕がこれから何を成そうとしているのか」

アルジェント:「ヴェルトハイムの復活のために、残りの騎士…いや、俺たちの魂も
捧げようというのだろう?」

GM(クリストファー):「そう、その通り。さすがですね。アルジェント君。
本来なら君とライン、それにそちらのサクス君が死んでいれば事は足りていたんですけどね」
言って心底残念そうにクリストファーは呟く。
「おまけに約束の地への扉も開いていない…。
君が面倒な動きをしたおかげで僕の計画も若干の修正が必要になりましたよ」

アルジェント:「本当なら…レストもここにいたはずだったのだがな…」

GM(クリストファー):「さすがにレスト君までここに居られたら、僕の計画は台無しでしたよ。
まあ、長話はここまでにしましょう」
言ってクリストファーは手を構える。その手に生まれるのは目に見えぬ異形の禍々しき力。
死したる魂が集う、異端の感覚。
「18年前、ベアトリーチェの行動によって“この世の白”が望んだ
真なる眠りの皇帝の誕生計画は頓挫しました。
しかし“この世の白”もそれで諦めはしませんでした。
18年前に死んだ三騎士の魂を回収し、彼らの“望み”を叶える事を条件に
彼らを現世へと復活させ、僕の手駒として計画の修正と遂行を任せました」

「シュトルムは“ただもっと殺し”がしたいがために
ヴァルターは“生前の最後に果たせなかった死闘に決着をつける”ために」

「ヴェルトハイム様は――“ある望みを果たすため”
そして僕が“この世の白”の代理として現世より彼らの魂を
こちらへ呼び戻す力を与えられました」

GM(クリストファー):「三騎士を全て蘇らせ、計画の成就がなった暁には
僕達、全員が生贄となると誓いましたが…“この世の白”もまさか僕が
“ヴェルトハイム様側”とは気づかなかったようですね。
三騎士を蘇らせ、ヴェルトハイム様の目的が達成されればそこで終わりです。
僕もヴェルトハイム様もディゼルやアルジェント君を新なる眠りの皇帝とする為の
贄として捧げられるつもりは毛頭ありません。おまけに“この世の白”は
こことは異なる次元に幽閉されていますから、僕達に手出しも出来ません」

サクス:なるほどすぎる…。

GM(クリストファー):「そして、最後にもう一つ教えてあげましょう。
確かに現状ではヴェルトハイム様を“完全な状態”で復活は行なえません。
しかし、思い出してください。この大陸ではすでに何年にも渡り、
教会とこの大陸の国々によって争いが起きてますよね?
それは僕がライン様へと効率よく戦争するように助言した為です」

ディゼル:「まさか騎士以外の人達の魂さえも使う気なのか…?」

GM(クリストファー):「ええ、その通りですよ。ディゼル君。
塵の魂とは言え、それもまた魂。あの御方の魂を呼び戻すには足りませんが
あって邪魔と言う事はないですからね」

アルジェント:「俺を眠りの皇帝にするだけなら
聖十騎士団だけで事足りると思っていたが…そういうことだったのか!」

GM(クリストファー):「そして更に僕は三騎士の中で最初にシュトルムを蘇らせ
彼女にこの大陸に存在する小国を片端から襲わせていました。この理由も、分かりますよね?」

アルジェント:「虫唾が走るほどにな」

ディゼル:「より多くの人の命を…なんて、ひどい…」

GM(クリストファー):「あの御方を完全に降臨させる事は出来ませんが
これだけの魂があれば、あの方の魂の一部を黄泉還らせることも――」

「可能なんですよ」

その一言を言い終わると同時だった。

“ごおおおおおおおおおおおおおおおん!!!”

クリストファーの手に生まれた深淵の闇は一瞬でこの空間全てを包んだ。

アルジェント:「くっ!」

GM:君達もまたそのあまりの深淵の闇に視界を奪われる。

サクス:「……ほう……」

そして―――感じるのは魂の、慟哭。

それは君達の魂が震える音。

目の前に降臨した、あまりに圧倒的過ぎる深淵の存在に対する本能の震え。

GM:『…随分と不完全な形だな、クリストファー。お前らしくもない』
それは魂に直接響くかの如き声。
深淵の闇が晴れたその先で君達の目の前、クリストファーが傅くその眼前には
混沌の如き影が揺れめき存在していた。
幻影。そう言ってもいい形の無い闇。
かろうじて人の形を取っているが、それが不完全であり、本体の一部である事はすぐに分かる。
だが、それでもこの圧倒的過ぎる魂の威圧が“未だ不完全”と言う事実に君達は恐怖すらも覚える。

アルジェント:(なんだ…こいつは…)

GM(クリストファー):「申し訳ありません、ヴェルトハイム様。少々、手違いがありました。
この失態、我が命を持って貴方様へ捧げる所存であります」
そう頭を垂れ、自らの命すら差し出そうとするクリストファーの忠節に対し
『…いや、お前はよくやっている。私の復活まではその魂、保っておくがよい。
お前には私の完全なる姿を見せておきたいからな』
と声を掛け、それに歓喜を覚えるようにクリストファーは身を震わせ恍惚の笑みを持って応える。
「はい、ありがたきお言葉です。ヴェルトハイム様――」
そうして、クリストファーの眼前にいる『闇』は君達の方を振り向く。
ただ、それだけで君達は圧倒的な存在に首を締め付けられるような息苦しさすら感じられる。

アルジェント:それでも視線は外さないぞ。

GM(幻影):『…ふむ。お前たちが私とクリストファーの計画を挫いた者達か』

ディゼル:「くっ…!」
気が遠くなるような錯覚に襲われつつもその声が響く場所を見据える。

GM:目の前にあるのはただの深淵の闇の塊。
目はなく、視線を感じるはずはない。
だというのに、君達はまるで全てを見透かされたような感覚すら受ける。
『一応、自己紹介をしておこう。このような不完全な形で申し訳ないがな。
私が聖十騎士団第十騎士“這い寄る混沌(ナイアーラトテップ)”ヴェルトハイム=ヴィンテンブルグだ』
そう、目の前の深淵は名乗った。

アルジェント:「出てきてもらって悪いが…早々にお帰り願いたいものだな…」

GM(幻影):『そうもいかぬ。折角、“この世の白”を出し抜き、現世に再び黄泉還れたのだ。
望みを果たせぬ以上はそうもいかぬよ。それに、私がいなくなれば、娘が悲しむのでな』
その幻影の言葉に反応するようにアリスはおどおどと幻影を見る。
「…お、お父さん…?」
アリスのその言葉に幻影は僅かに感情を込め、アリスに言葉に返す。
『ああ、久しぶりだなアリス。18年か。私の事を覚えていてくれたとはな。
大きくなったな。出来れば本来の姿で黄泉還り
お前の頭を撫でてやりたいところだったが…残念だよ』
幻影のその言葉を聞き、アリスは瞳に涙を浮べ呟く。
「……お父さん……」

ディゼル:「………」

GM(幻影):『…さて、諸君らの名を聞いていなかったな』
アリスとの会話が終わり、幻影を再び君達を見る。

アルジェント:「アルジェント=セントヘレン。
ベアトリーチェの息子だ。お前の望みが何かとか、誰にどれだけ慕われてるとか
そんなことは関係ない。俺とラインは、母さんの願いを継ぐ者として…
お前の望みを許容するわけにはいかない!」

GM(幻影):『ほぉ、ベアトリーチェの。なるほど、その瞳…確かに彼女と同じ輝きだな』

ディゼル:「ディゼル=オウディラス…。クリストファーがあなたを
生き返らせるために僕たちの母さんは死んでしまったんだ。
だけど…あなたが死んだ原因が母さんにあったとするのなら…。
僕に…あなたを憎む権利があるのだろうか…?
僕には分からない、一体どうしたらいいっていうんだ…」

GM(幻影):『ああ、そうか。君がディゼルか。クリストファーから話は聞いているよ』
そこで幻影たるヴェルトハイムは興味深そうに君を見る、そして――
『まずは礼を言っておこう。我が娘アリスを護り続けた事。
そして、結果として私の復活のために聖十騎士団達を葬り続けた事、感謝しておこう』

ディゼル:「…………」
複雑な心情が顔に――。
そして今まで自分が正しいことをしてきたという思いが揺らぐ。

GM(幻影):『そうだな。娘を護り続けた事と私達の計画の助けとなったことに対し
礼とは言わないが、一つ教えておこう。私の目的の一端を。
私の目的は、そうだな、端的に言ってしまえば、この大陸に住まう全ての魂の――回収だ』
あっさりと、目の前の幻影はそう突拍子も無い事を言った。

アルジェント:「なっ…?!」

GM:それはすなわちこの大陸に存在する全ての人達
数万以上存在する魂を全て刈り取ると言う事。
『ああ、無論。これも目的ではない。あくまでも目的にいたるための手段だ。
つまり私の目的とはそれほどの魂の量を必要としていると言う事だ』

アルジェント:「それほどの“材料”が無ければ作れない何かがあるってことか…」

GM(幻影):『そう言う事だな。そこでどうだ、ディゼル。私達と共に、来ないか?』
再び、幻影はそう突拍子も無い事を言う。

ディゼル:うわぁ(笑)個人的に、ものっそい付いて行きたい(笑)

GM(幻影):『君には感謝の念がある。我が魂の一部として取り込むのも悪くは無いが。
君が望むなら君は私の傍で“永遠の繁栄”を得る資格を与えても良いぞ』

アルジェント:暴君のオヤジといい、どうしてこう影的なものは
ディゼルをスカウトしにくるんだ…。

GM(幻影):『なによりも我が娘もその方が喜ぶだろう』
一方、アリスは父ヴェルトハイムと君・ディゼルを見回している。
その表情は不安とも期待とも分からない表情をしている。

ディゼル:その言葉にアリスのほうに視線を向ける。
そこに立つのはあまりにも小さい幼女の子。

GM(アリス):「……ディゼル…」

ディゼル:(´ω`)・。○(幼女の子へのツッコミはなしか)

GM:いや、内心すごいツッコンでいたよ(笑)
どんだけ小さい子だよ!(笑)

アルジェント:シリアスな雰囲気がそれを許さない。

ディゼル:ディゼルの手がゆっくりとアリスの方へ伸びる…だが
その手はまたゆっくりと降ろされた。

GM(アリス):「……ディゼル…」
分かっていた。そう言わんばかりに寂しい表情を残したままアリスは君を見る。

ディゼル:「アリス、別に君と君のお父さんが仲良くしたり
もう一度会いたかったという気持ちを踏みにじりたいわけじゃないんだ…」

GM(アリス):「………」
幼女は黙って君の言葉に耳を傾ける。

ディゼル:「でも、君のお父さんは世界中の人を巻き込んで、何かをしようとしている…。
多くの人を犠牲にしようとしている。
そんなこと間違ってる、なんて、僕に言えることじゃないかもしれない――。
だけどね、アリス。やっぱり、死んでしまった人を思い出すのでなく、
今、生きている人達と共に生きることも大切だと思うんだ――!」

GM(アリス):「…ディゼル…お前は、本当に強くなったんだな…。
ううん、それがお前の本来持っている強さなんだな…。私は…私は……」

ディゼル:そう言って再びディゼルの手がアリスへと伸びる。
けれど、この手はさっきの迷いの手とは違う。
「―――アリス!」
それはアリスがこちらへと歩みよるための手

GM(アリス):「…ディゼ、ルぅ……」
アリスは君を見る。最初は偶然。いや、仕組まれた偶然だった。
指輪を持つ者と出会い、その者を利用し聖十騎士団達を倒し総本山・約束の地へ向かう事。

だが、アリスは思い出す。旅の中でディゼルと出会い、過ごし、戦った日々。
捕らわれた自分を取り戻すために王宮へと来てくれたディゼル。

「利用してるだけかもしれないんだぞ」

そう君へ言ったアリスの言葉。

だけど、君はそれでもアリスを護ると誓った。
その言葉は今もアリスの中でずっと残っている。

GM:アリスはゆっくり一歩を踏み出す。それは君の手を取る為に
君の居る場所に戻りたいという気持ちのために。だが――
『素晴らしいな。君のその純粋な想いと意志。我が娘が惹かれるのも道理か』
君とアリスの間を幻影――ヴェルトハイムが立ちはだかった。

ディゼル:お義父さん、そこどいて!アリス連れてけない!

アルジェント:S県月宮かよ…。

GM(幻影):『ディゼル、アルジェント。君達二人の意志は理解した。
では、サクスよ。君もやはり私に刃を向けるかね?』
幻影は最後に残ったサクスにそう問うように声をかける。

サクス:「ふん、そうだな。俺は元々主についてきた。
お前にはさして興味もないが主の肉親を守るのも悪くない」

GM(幻影):『君らしいな。あの騎士団の中では私は君とヴァルターに対しては
相応の敬意を払っていた』

サクス:「ふん、俺がこうして集団の中にいられるのも主のおかげだからな」

GM(幻影):『――では、良かろう』
言って幻影は一歩を踏み出す。それだけで再び君達はその身の魂へ響く重圧を感じる。

サクス:「ほう…」

GM:幻影は静かに君達の眼前まで来るそして――
『私とクリストファーの計画の障害となり、計画の修正をしなければならなくなった
君達の実力とその魂に敬意を評し褒美をやろう』
言って宣言する。
『――私一人でお前達全員の相手をしてやろう。
どうだ?今ここで私を完全に消滅させられれば再び私が現世に戻る事もない。
これ以上の褒美は無いだろう』
それは圧倒的自信と余裕による宣言だった。

アルジェント:「まったくそのとおりだな。後悔するなよ…?
あの世で恨み事を言っても聞いてやらんぞ」

GM(幻影):『ああ、無論、後悔などはしないさ。
ここで私が死ねばクリストファーと私の計画も終わり、アリスも君達の好きにするといい。
千載一遇のチャンスだ。全力を以って挑む事を薦めるよ』

ディゼル:「消すまではいかなくても、その野望を抱く気持ち――
打ち砕いて見せます!」
アリスを君たちの好きなようにという表現がもうね、エロすぎやしないかい?

サクス:発情しすぎやで(笑)

アルジェント:それは『欲情チェリー』という称号能力によるものだよ。

GM(アリス):(エロい想像した奴は後で噛む)

ディゼル:はむはむされる…!

GM:がぶぅ!といくぞ。アリスの持ってる人形が(笑)

アルジェント:「準備はいいか?ライン。母さんの願いは、俺たちが継ぐ!」
ここで倒せる気はまったくしないが、キャラとしてはやらねばなるまい。

GM(ライン):「ああ、分かっているよ兄さん。
散々利用されていた分…全てをこいつにぶつけるよ!」
言ってラインも構える。
「…だけど兄さん。これが終わって全てに決着がついたら…
約束のボール遊びを楽しみにしているからね」

ディゼル:フラグビンビン(笑)

GM:言うな(笑)

アルジェント:「まかせろ。今度はお前が俺を追いかける番だ」
しかし、シュトルム戦でリソースほぼ使い切ってるというのに
こんな化け物が相手か…厳しい戦いになりそうだなぁ。

GM(ライン):「…うん。楽しみにしているよ」
そうしてラインは隣にいるディゼルを見る。
ラインはしばしディゼルを見つめるが、すぐに目の前の幻影へと視線を移す。
だが、不意にラインはディゼルに声をかける。
「…ディゼル。僕は君が僕達の弟と認めたわけじゃない。
けれど母さんの意志を果たすためにも、ここは協力する。君の力を、貸して欲しい…」
 
ディゼル:「…うん、同じ今を生きる者として、一緒に戦おう!」

GM:君のその言葉にラインは頷く。そして――

『話はまとまったようだな』

それに呼応するように目の前に存在する深淵が蠢く。

GM(幻影):『現状では本来の力の半分以下も取り戻せていないが…。
まあ、それでもお前たちを相手にするには丁度良いかもしれないな』

『さて、それでは――聖十騎士団第十騎士“這い寄る混沌(ナイアーラトテップ)”
ヴェルトハイム=ヴィンテンブルグ。君達の相手をしよう――』

その宣言と共に。
かつていない死闘の火蓋は切って落とされた――。


 
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