アヴェスター教会総本山編 第9章 友との別れ

◆幕間シーン 〜アルジェントの方針〜
レストとの戦闘。そしてそれに乱入してきたシュトルム。
更にはそのシュトルムの口から用済み扱いされたアルジェント。
アルジェントのPLのフェンリル君は己のキャラの行動が完全に後手後手に回り
序盤のラインとの選択以降からまさに泥沼にはまっており
さすがに己のキャラの今後に不安になったのか、ある日、こんな相談を持ちかけてきた。

アルジェント:GM、ちょっと相談したいのですが…。
アルジェントの今後なのですが、シアリー様の為にアルジェントは自害しようと
思っていたのですが、そんな事しても状況変わりませんかね…?

唐突に自殺宣言をしてくるPL。

GM:…え、なんで自殺…?

アルジェント:いや、シュトルムが乱入してくる前はレストに深手負わせて
シアリー様を助ける為に自害するしかないかな〜とか思っていたのですが…。
もうんな事して、いい状況じゃないですよね…?

GM:そんな事したら、ますますクリストファーの思う壺で
無駄死にところか、敵の利益死になりますよ?

アルジェント:マジですか…。やっぱり、最初の選択肢で盛大にミスったか…。

GM:んー、と言うよりもアルジェントがクリストファーの思惑をまるで見抜けていなかったのが
原因かもしれませんね。ぶっちゃけクリストファーに取って、今、アルジェントがやっている
聖十騎士団狩りや、君を含めて千単位の魂の価値を持つ者が死ぬ事がなにより有益で
正直、当初の予定ではここまでクリストファーの計画通りになる事はなかったのですよ。
それがこうなったのはやはり最初の選択肢の内どちらも選ばず
仲間もラインも見捨てて、自分とシアリー様を重視した第三の選択肢を選んだ事ですかね…。

アルジェント:うわー…。

GM:ぶっちゃけ、もうシナリオの展開を明かすと、実はあの時
アルジェントが眠りの皇帝を継ぐというルートを取った場合
一番困るのはクリストファーで、シナリオもそれにより大きく変わったのですよ。

アルジェント:マジですか。

GM:ええ。と言うのも現在アヴェスター教会の事実上のトップはベアトリーチェで
それを操るクリストファーが黒幕ですから、彼がトップのようなものです。
だから、自分の計画の為に教会や騎士団を好き勝手に使えたのですが
そこに自分と同等の権力や資格を有するアルジェントが割り込んでくると
クリストファー的には非常に厄介な事になるのです。

アルジェント:そういう事だったのか…。

GM:あと眠りの皇帝を継ぐと言ってもアルジェントが想像しているルートとはまるで違うと思います。
あの後、クリストファーが即座に謀反行動を移し、アヴェスター教会内部で
アルジェント派とクリストファー(ベアトリーチェ)派の二分に分かれて
アルジェント側にはレストやフェティと言ったいわゆる聖十騎士団でも良心的なキャラや信者達が
味方となり、18年前のベアトリーチェが率いていた武と義を持つ者たちが集い、それと相反する
利己的、またはクリストファーに騙され利用された者達との戦いという展開になりましたね。
ぶっちゃけ、あの場だけ見ればいかにも敵側に付けみたいなルートですが、
その実、アルジェントやディゼルと言ったベアトリーチェの息子となる君達の勢力となる者達を
増やし作り上げる選択肢だったのですよ。

アルジェント:うわ…まるで読み違えていた…。

GM:ちなみにあそこで眠りの皇帝となる事を拒絶した場合も
今より酷くなる事はなかったですね。結局、レストやサクスが自力で真相に気づく展開となり
シアリー様もレストが救出するという展開で、なんか今めっちゃバトルしてるレストですが
実は彼は当初からアルジェントの味方として用意していたキャラで
本来なら戦うどころか一緒に隣に立って、クリストファーや死体人形のベアトリーチェに対して
共に戦ってくれる仲間のはずだったのですが…。

アルジェント:やっちまった。

この後、シナリオのネタばらしなどを行い、アルジェントは自らのキャラが
とんでもない方向に行っていたと今更ながらに気づき、
この状況からの脱却をするべく、ある提案をしてくる。

アルジェント:じゃあ、GM。実はアルジェントはそうしたクリストファーの思惑に
気づいて、その上であえてクリストファーの策に乗っかってる演出に変えてもいいですか?

GM:また唐突な(笑)。貴方今、めちゃレストとバトルしてて
そこをシュトルムに襲われているじゃありませんか。
一体どうやってクリストファーの陰謀に気づいたのですか?(笑)

アルジェント:そこはあの時、シアリーの口からクリストファーが話してた際に言っていた
○○の台詞から不自然さを感じ取ってですね…。

GM:また強引な(笑)それでその後は?

アルジェント:ええ、ですから実はあの後、密かに○○○と結託して
クリストファーの陰謀に対して布石を打ってですね…。

とこの後、かなり強引(後付)的な立ち回りをこじつけ
なんとかアルジェントのシナリオ救済を行うおうとするアルジェントのPLフェンリル。

GM:(うーむ、だがしかし、確かにこのままではアルジェントが不憫すぎるし
こちらとしても、それでアルジェントがディゼル達の元へ戻るならやぶさかではないな。
それにもう何回もシナリオの路線変更したんだしここまで来れば、二度が三度になっても同じか)
了解しました。では、その方向でいきましょう。

アルジェント:マジですか。助かります。

GM:まぁ、とりあえずはシュトルム乱入戦が終わってから、そこらへんの演出しますので(笑)

こうしてまた再び、アルジェントによるシナリオ変更が行われたが
これによりクリストファーの陰謀打倒に繋がる可能性も見つかった為
結果としては上々である。あとはこのアルジェントの考えが吉と出るか凶と出るか
それは今後のシナリオ次第である。

GM:(まぁ、しかし…結局予定していたPLと共に眠りの皇帝に下克上するレストのイベントや
姉の仇であるシュトルムと対峙するフェティのイベントや出来なかったか…。
レストとフェティは犠牲になったのだ)

◆    ◆    ◆

GM:ではお次はディゼル・サクスさんのシーンから〜!
君達二人の前に立ちはだかり激しい激戦を繰り返す眠りの皇帝ベアトリーチェの人形。
しかし、彼女の身体は君達との激しい戦いで、すでにかなりの疲労や傷を受けている様子。
と言う事で再びセットアップ&行動値をよろしくです!
ちなみにベアトリーチェは行動値46です!

ディゼル:31です(笑)

サクス:7・9の32で(笑)

GM:ではベアトリーチェの行動から!
『さて、正直、君達がここまで粘るなんて想像できなかったよ。この人形もそろそろ限界みたいだ。
だからその前に存分にこの人形の最後の灯火を発揮させてもらおうか』
その宣言と共にベアトリーチェの漆黒の髪が広がり
刃の如き鋭さとなり君達二人に同時に襲い掛かる!命中65です!二人共回避をどうぞ。

ディゼル:攻撃内容言わないのもマジ怖い(笑)
回避7・9の44で命中(笑)

サクス:…ああ、ちょっと待って。めっちゃ回ってる(笑)
ちょうど回避65かこれ?!

GM:マジで!避けた?!(笑)

アルジェント:反動なのか?さっきまでの反動なのか?

GM:ではサクスのみはその動体視力でぎりぎり回避をした!(笑)
そして当たったディゼルへクリストファーからのとんでもプレゼント(笑)

ディゼル:母さん、僕の誕生日にはまだ早いよ。

GM(ベアトリーチェ):『生憎、僕は君のお母さんじゃないから♪
と言うわけで受けるといいよ。魔王のみに与えられた真なるディザスターアビリティの威力を』

《穿つ厄災》 タイミング:ダメージ判定前 対象:自身 射程:−
貴方のダメージ判定時に+[6D10]のボーナスをする。
ただし、この時の判定ではクリティカルは発生しない。

アルジェント:禍つ刃の強化版か。

GM:うわ、攻撃104点(笑)
ちなみにサクスさん、このタイミングでサクスさんのカバーリングはありですよ。

サクス:MPが0で(笑)

ディゼル:まじか(笑)

アルジェント:あっはっはっはっは。

このベアトリーチェの一撃によりディゼルは見事にHP-6の戦闘不能となるが
ディゼルは持っていたFP(フォーチュンポイント)を使用して
防御ダイスの振りなおしを行い、合計5回の振りなおしを行い
結果防御判定にクリティカルし、HP7となり生き残る。

ディゼル:HP7で生き残りました(笑)

アルジェント:フェティ戦でも結構、FP消費したよねぇ。

GM:なんかしばさんはFPくわれる運命だなぁ(笑)
了解です!では生き残りましたね!
『ッ、馬鹿な、今ので生き残るだと…ッ』
ベアトリーチェを通してクリストファーのそんな意外そうな呟きが漏れる。では、サクスさんですぅ!

サクス:HP6でMP0だと…!

アルジェント:ぼっろぼろだな。

サクス:ここは…最後の<緋鎖の紋章>!えと、これでマイナーでMP10点回復で(笑)
続いて命中判定に<緋翼の紋章>使用して殴ります!命中が9・7・7で54で。

GM:あたりですぅ〜!威力を!

サクス:<緋翼の紋章>使って攻撃は4D10で攻撃(笑)
キマイラは使わず…95点!!

GM:おお!やはり攻撃大きい!
“ずばああああああんッ!!”
サクスの放った一刀はベアトリーチェの身体に深い傷をつける。
それは確実な致命傷であり、ベアトリーチェから感じていた威圧感が薄れているのが分かる。
『…さすがだね。やはりもっと早くに君を始末しておくべきだったかな?サクス』

サクス:「…そろそろ、お前も元の持ち主たる主の下へ帰ってもいい頃だろう」

GM:ではディゼル〜。

サクス:「ちまちまとした小細工しか出来ないような輩に
俺の肉体に傷をつけることはできるとも思えないが。
だが、この身体にとどめをさすべきは俺じゃない、実の息子だ。
最後にきちんと穢れを祓ってやって、大地に弔いを」

ディゼル:ちょ、プレッシャー(笑)

GM:ここは行くんだ!ディゼル!(笑)

ディゼル:「――ここで、終わらせるッ!」
マイナーで<大いなる軍勢>使用s…HP6で無理だよ〜。
ではマイナーでハイポーションつかいます〜。おお、30ほど回復(笑)

サクス:うほ(笑)

ディゼル:命中は7・9の40で!

GM:あたりです。威力どうぞ〜!

ディゼル:ここで<運命の加護>を使用し《エンシェントレコード》使用
<神威の咆哮>発動!

GM:おおおおぉぉぉ!

アルジェント:おお!

サクス:キタワァー(笑)

ディゼル:攻撃値50+50の100!

GM:おお!ぴったり!ではディゼルの放った一閃。
それは刹那にも満たない瞬間の閃光を放つ。
そして、その刹那の一閃が終った後――静かな音が響く。

“――ぴしりっ――”

GM:それは目の前のベアトリーチェ。彼女の身体に入る一筋の傷。
『……残念だったなぁ…』
静かにベアトリーチェの口よりクリストファーの声が聞こえる。
『…ここで君達を殺しておけば“僕の計画”も楽になったんだけど…。
…まあ、いいか。当初の目的、時間は十分に稼げた』

『それじゃあ、人形劇はここでおしまいにしようか』

その発言と同時に。

“ぴしり―――ぱきぃぃぃぃぃぃん!!”

目の前のベアトリーチェの身体に走った傷は彼女の身体を引き裂き
眠りの皇帝ベアトリーチェの身体は光の粒子の如く、四散した。

そしてその光にディゼルとサクスが触れた瞬間。
二人の意識は――光の向こうへと消えた。

◆   ◆   ◆

GM:一方。シュトルム、レスト、この二人と三つ巴の戦いを繰り広げるアルジェント。

アルジェント:お、こちらか。

GM:すでにレストは体中血に塗れ、対するシュトルムは余裕の表情。
セットアップ&行動値!

アルジェント:ではその前に「おい、レスト」

GM(レスト):「…なんだよ?アルジェント…」

アルジェント:「知っている限りのあいつの能力を教えろ」

GM(レスト):「…はは、いきなりだな。お前それだとまるであいつの能力が分かれば
この現状をどうにかできると思ってるいい草だぜ」

アルジェント:この絶望的ともいえる状況の中でふっと笑みをうかべ
「できるさ。お前が俺に“とっておき”を放ったように
俺にも“とっておき”がある。あとはお前がそれに賭けるかどうかだ」

GM(レスト):「…この絶望的な状況下で変わらないな、お前は」
それはかつて君達二人が王国の騎士だったとき、共に絶望的な戦に望んだ時の笑みを浮かべる。
「“三騎士”。連中はオレ達聖十騎士の中でも群を抜けた能力と称号を持っている…。
そして、あいつシュトルムの能力はオレの称号のその更に上を行く…だが…。
アルジェント、お前なら、いや、お前でならあいつに勝てる。
賭けさせてもらうぜ、お前のその“とっておき”に…」
そして、レストはシュトルム=ウント=ドランク。第二騎士“フローズヴィトニル”の称号能力を告げる。

《白銀の狼》 タイミング:宣言 対象:範囲内の射程全て 射程:100m 消費精神:−
この白銀の世界ではシュトルム以外の命中・回避の基本値は0となる。
ただし、この世界の構築の為には使用者は発動時と、毎ターンの最初に
最大生命力の10%を消費する事。消費が行われなければこの称号能力は発動しない。
“白銀の狼(フローズヴィトニル)”の称号能力。

アルジェント:おお、そんな能力なのか。

GM(シュトルム):「ははは!いくら私の能力が分かっても対抗の方法なんかありはしないよ。
分かるでしょう?君達の基本値は0。どうあがいても私の領域には届かないんだよぉ」

アルジェント:「どうかな?例えば…こんなものがあったとしたら?」
ここで<静寂の領域>をHP消費で使用!

GM:了解!では凍りついた白銀の世界。
その中で余裕の表情を浮べていたシュトルムの動きが君の放った静寂の空間に捕らわれ停止する。
「…ッ、この能力は!」

アルジェント:そしてすかさず「レスト!お前の能力を解除しろ!」

GM(レスト):「――ああ」 そうレストが告げ行動を移す前に
「…驚いたなぁ。君、こんな真似もできるんだ…。だけど、そんな暇なんか与えないよ!
先に君を八つ裂きにさせてもらうよ。アルジェント!」

<奇襲攻撃> タイミング:セットアップ 対象:自身 射程:− 消費精神:8
貴方はセットアップ時にメジャーで行動ができる。ただしマイナー行動は行なえない。
またこの特技を使用した際、代償として一切のタイミング:セットアップの特技を使用できない。

GM:こちらは命中65!

アルジェント:えっと、静寂の領域の効果は有効?

GM:静寂の効果はありです。

アルジェント:で、レストの能力はまだ解除されてないと。

GM:ですね。する前にシュトルムのセットアップが動いた計算ですね。

アルジェント:OK、じゃあ達成値は0だ。ジャッジもできんからな。

GM(シュトルム):「殺すよ。確実に、ね」

<破滅の刃> タイミング:ダメージロール直前 対象:武器 射程:− 消費精神:7 取得レベル:3
貴方が装備している武器の攻撃値を3倍にして攻撃判定を行える。
ただし攻撃終了後、貴方が装備している武器は即座に崩壊する。一シナリオ一回使用可能。

<暗器殺劇> タイミング:ダメージロール直前 対象:自身 射程:− 消費精神:5
貴方は武器を二つ以上持っている際、装備している武器以外に持っている武器を
一つ選択する事が出来る。 その[選択した武器の攻撃値]を
装備している武器の[攻撃値]に加算して攻撃を行える。
ただし攻撃後、選択した武器は破壊され消滅する。

《禍つ刃》 タイミング:ダメージ判定前 対象:自身 射程:−
貴方のダメージ判定時に+[5D10]のボーナスをする。
ただし、この時の判定ではクリティカルは発生しない。

アルジェント:おおう!そんなものも!

ディゼル:殺す気満々(笑)

GM:攻撃137点!
しかし、このシュトルムの殺戮の刃が君に届く瞬間―――“どずんッ!!!”

アルジェント:ん?

GM(レスト):「―――ッ」
レストが君の眼前に立ち、シュトルムの刃をその身に受ける。
レストの<カバーリング>発動。彼の受けた傷は確実な致命傷だろう。
彼は片膝をつき、彼の能力《輝く者》も解除される。

アルジェント:「レストっ?!」

GM(シュトルム):「あははは!なにそれ?面白い真似するねぇ、レスト!
けど、そんな事してアルジェントが私に本当に勝てると思ってるの〜?」
笑うシュトルム。だが、レストは――
「オレの…役目は果たした…ぜ…アル……」
と君に笑みを見せ斃れ伏す。

アルジェント:「ああ、しっかりと見ていろレスト。
お前に…逆転劇というものを教えてやろう」

GM:では改めて行動値を。
ちなみにレストは重傷のため行動不可能です。

アルジェント:了解。

GM:シュトルムは48!

アルジェント:来た来た来た来た!10・5・4で行動値50!

GM:先手取った!すげぇ!(笑)

アルジェント:レストの託した力が何かダイス目に出てるぞ。

GM(シュトルム):「…馬鹿な、私よりも早いなんて…!そんな事、あるはずが…」
と言う事でアルからだね。

アルジェント:レストがかばってくれたのでHPが結構ある。
これなら…とりあえずマイナーでヒーリングポーションを使用。
ここでも出目がいい。15回復。そしてメジャーで<睡蓮><双翼>を使ってシュトルムに攻撃!

GM:了解!

アルジェント:9・9・1でフォーチューンゲットの命中19!
なんだ…どうなってるんだこれは。二回振ってるとはいえ、出目いいなぁ。

GM:うっ、こっちは13です。あたる(笑)
「…まさか、この白銀の世界で私に攻撃を与えられる奴がいるはずが…!」

アルジェント:攻撃は8・5で91だ。

GM:君の放った一閃はシュトルムの腕を裂き、その血を噴き出させる。
「――多少はやるねぇ。けど、その程度で私を倒せると思ったら思い違いもいいところだねぇ…」

アルジェント:「思い違いをしているのはお前の方だ。周りを見てみることだな」
フォーチューンアビリティ≪エンシェントレコード≫使用。<獅子狼王>を普通にHP消費で発動。
周囲の光景がグレースケールになり、その中でアルジェントとシュトルムだけが色を持っている。
外はまるで時が止まっているかのようだ。

GM(シュトルム):「――!これは…ッ」
その事態にさすがのシュトルムも初めて焦りの表情を見せる。

アルジェント:「ここは夢と現実の狭間、半ば時の止まった空間だ。
それとも、お前にはこう言った方がわかりやすいか?」

「ここは俺の狩り場だ」

この後、三連続の攻撃を叩き込むアルジェントだが
本来<獅子狼王>は生命力の消費をきちんと払わなければ再攻撃が行えないスキルだが
この当時、まだ明確な明言をしていなかった為、HP1の状態でも再攻撃が行える状態となっていた。

アルジェント:一発目は攻撃87点、二発目は<神風>を使用して111点。
そして最後のダメージロールでは二発目の<神風>を使用!
アルジェントの糸が寄り集まり、二本の剣を作る。それはまるでレストが使う二刀のように。
そして、その二刀から放たれる竜巻。
ジョシュアやジグードと戦ったときには不完全だったアルジェントの必殺技。
今こそその名を告げよう――

「空裂――残空斬!!!」

アルジェント:フォーチューンアビリティ≪グラビティムーヴ≫を使い
シュトルムの防御ジャッジを半分にします。攻撃は125点!

GM:では君が放ったその空を裂く残空の嵐。
それはシュトルムを包み彼女の身体を裂き血に染めていく。無数の風の嵐により斬撃が収まり――
全てが終った、その場所に全身を引き裂かれ大量の血を流すシュトルムが立っていた。
血染めに染まった服と体、それは明らかな致命傷のはず、そのはずが――

「ふ…ふふっ…」

彼女は笑む。これ以上にない獰猛な、至高の嗜虐の笑みを持って。

「ふふふ…あははははははははははははは!!!」

彼女は自らの血に染まった自分の姿を見て狂笑を上げる。
否、これこそが彼女の本来の姿。相手の血肉、そして自らの血肉を浴び流し
それを身に纏う事により、狂気の血染めの銀狼は覚醒する。

GM(シュトルム):「はははは!最高だよ!
こんなに血に塗れたのはいつ振りだぁ!あっはっはっはっはっ!!」

アルジェント:(押しきれなかった…か?)

GM(シュトルム):「あぁ…アルジェント…。やっぱり君は最高だよぉ…」
言って狂気と情欲、殺意と恋情。それら全てを混ぜた感情を持って彼女は君を見る。
「ふふ…クリストファーからここで君を殺せって言われていたけれど…気が変わったよぉ…」
彼女はうっとりと君に恋するように手から流れる血を淫靡に舐めとる。
「この傷…どうやら動脈層をやられているみたいだし私もここで一旦退くとするよ。
なにより――君みたいな殺し甲斐のある最高の獲物は
もっと…じっくりと…ゆっくりと…たっぷり時間をかけて、殺したいからさぁ…」

それは獣が獲物を定めた笑顔。
その凄惨な笑みをシュトルムはアルジェントに向ける。
そう今、この瞬間、アルジェントはこの獣が恋する、そして殺すべき標的と定められた。

アルジェント:「あのときの…怯えただけの俺だと思うなよ…お前なんか…」

「お前なんか怖くない!」

GM(シュトルム):「ふふっ、いいね、その調子だよ。
楽しみだよぉ…そんな君をどんな風に殺そうか…あぁ、今から楽しみで胸が裂けそうだ…。
そう言ってシュトルムは堪らず自分の胸を掴み、悶えるような仕草をもする。
「それじゃあ、ね。アルジェント。次を…楽しみにしているよ。――はははじゃははははッ!!!」

その狂笑と共にシュトルム=ウント=ドランク。
白銀の獣はその場より空間水を使い、姿を消した―――。


◆ミドルシーン8 〜友との別れ〜
GM:シュトルムとの戦い。そしてその戦いの中
からくもシュトルムを迎撃させることに成功するアルジェント。
だがすでに君の身体はレスト、シュトルムとの連戦により消耗し切っている。

アルジェント:「はぁ…はぁ…」
さすがにHP1でMP2だしな。ほとんどリソースは出しきった。
さて、レストは生きてるだろうか。

GM:ボロボロの身体を引きずる君、だがそんな君に以上に
地に倒れたまま血を流すレストの傷はなお重傷だった。
「……よぉ、すげぇ…な、アルジェント…あの状況で…あいつを迎撃できるなんてよ…。
まったく…本当に大した奴だぜ…お前は…」
そう軽口を言っているが、その顔色が死人の色に近づいているのは見て取れる。

アルジェント:「軽口叩いてる場合か…」
さて、レストを助けることはできるのだろうか。

GM:ハッキリ言って傷は致命傷となっている。
この状態でレストを助けるのは不可能だろう。
出来ることは一つ。ただ見取ることのみ、ということ。
「……全く、最後の最後で…時間が惜しいぜ……」

アルジェント:「死ぬなよ…レスト。ここで死ねばクリストファーの思うつぼだぞ…」

GM(レスト):「だな…けど、ここでお前がオレのために何かしても時間を食うだけ
それも結局は…あいつに時間を与えることに…なるだろう…。
まぁ…ちょっと悔しいけどよ…後のことは、もうお前に任せるしか、なさそうだぜ…」

アルジェント:「シアリーは…ずっと望んでいたんだ…。三人でいることを…」

GM(レスト):「…シアリー様らしいな…」
そう言ってレストは眠っているシアリーを見る。そう、今、この瞬間において確かに三人は一緒だ。
そして同時にこの瞬間がこの先において永遠に訪れないことも理解できる。

アルジェント:「なぁ…レスト…。何故今、聖十騎士団を裏切った…。
何故もっと早くできなかった…。それがあと半年早ければ…シアリーの望む日々は…
シアリーの願う世界は…崩れずに済んだのに。
俺とお前でアヴェスター教会とも戦えていたのに…」

GM(レスト):「…確かにな…行動するのが…少し遅かったな…。
気づくのが遅かった……お前やシアリー様の傍に行くのが遅れちまったよ…」
どこか遠くの空にある星を見るようにレストは呟く。
「けどよ…オレが行動起こすの遅いのは…お前も知ってるだろう?
オレは、面倒くさがり屋だからな…」

アルジェント:「そうだな…いつも俺が呼びに行っていた…。
ならば…お前を呼びに行けなかった…俺も同罪か…」

GM:いつか城内で君と話していたレストが言った言葉。
そしてその時に見せた笑顔。それはあの頃と何一つ変わらない君達の光景。
敵として合いまみえ、そして再び友として並び立った。
経過はあったが君達の関係は何も変わってはいなかった。

GM(レスト):「…じゃあよ…これも最後まで面倒くさがりな
オレらしい他力本願な頼みだけどよ…一ついいか…?」

アルジェント:「なんだ?」

GM(レスト):「…シアリー様を頼むぜ…。
そして、クリストファーの陰謀を潰してくれ―――」
君の瞳を真っ直ぐ見てレストは頼んだ。

アルジェント:「…わかった」
ではこちらも一拍の後に
「レスト…俺はお前に…礼を言わなければならないな…」

GM(レスト):「…礼?」
不思議そうにレストは君を見る。

アルジェント:「覚えているか?
戦う前に…俺がお前に…「お前を殺すのは俺の意思だ」と言ったこと」

GM(レスト):「…ああ、そりゃ覚えてるさ…」
苦笑交じりにレストは頷く。

アルジェント:「俺は…クリストファーに…シアリーを救いたければ聖十騎士団4人を殺せと言われた。
そして、俺が何を望もうと…お前を殺すことになるだろうと思っていた…。
だから俺はお前にそう言った、シアリーを…人殺しの理由にしたくなかったから…。
だがお前は…彼女のために死ななかった…。
彼女に自分のために誰かが死ぬ重荷を背負わせなかった…。ありがとう、レスト…」

GM(レスト):「……ったく、お前は…本当に不器用な奴だな……」

アルジェント:「そう…かもな」

GM(レスト):「全部、オレが勝手にやったことで礼を言われる筋合いはないってのに…けどまぁ…」

「ありがとうよ、アル…―――」

GM:その最後の言葉を紡ぐと同時に。
レストの瞼が静かに降ろされた。
そして、その生命の音が静かに消えた事も告げられた。

アルジェント:「レスト…」 ぽつりと呟くように言う。

GM:その呟きに、もはや目の前の男は反応しない。
だが、この先の扉の奥…総本山では今だ戦いの音が響いているのが分かる。

アルジェント:えっと、ちゃちゃっとレストの墓を作ることってできますか?

GM:いいですよ。ちゃっちゃと作っても構いません(笑)

アルジェント:それではレストの隣の地面を糸でふっ飛ばし、その穴にレストを寝かせる。
そして穴を埋めた後、レストのもう一本の剣をそこに突き立てて墓とします。
よし、のんびりしている暇は無い。シアリーを背負って、総本山へ向かう。
そしてここでシアリーの眠りを解除するぞ。

GM:…え?わざわざ背負っていくの?結構危険な場所ですよ(笑)

アルジェント:置いていくわけにもいかないからね。

GM:まぁ、確かにそうですが。なんでしたらダグラスさんに預けるとかもありですが。

アルジェント:託されたのだから最後まで面倒みるさ。

GM:了解です。

この後、シアリー起こした後、彼女に事の事情とレストの死を知らせるアルジェント。
シアリーに取ってレストとは自分を女王として扱わず一人の少女として扱ってくれた
特別な人物でもあった。
故に彼に死に対し多少の動揺と悲しみを覚えるシアリーだったが
すでに現状は悲しみに包み泣き暮れる事を許してはくれなかった。
アルジェントは亡き友と、そしてシアリーの為にもクリストファーの陰謀を阻止するべく
再び教皇の間を目指す――。


 
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