アヴェスター教会総本山編 第1章 教皇の息子

アルレシオ公国編が終わり、眠りの皇帝編のメインメンバーであるディゼル・アルジェント・サクスの
三人は次なる舞台となる「アヴェスター教会総本山編」と入る前にレベル上げの作業を行い
各自、どこを上げるべきか、長所を伸ばすか、それとも短所を補うか
前回のシナリオや戦闘での経験を活かし、皆雑談を交えてレベル上げが行われた。

GM:それじゃあ、三人とも大体出来たみたいだね〜。

フェンリル:ですね。それでは成長報告しようか。

GM:お願いします〜。

フェンリル:スキルは≪地脈の素質≫を上げて【砂】を取得。これは主に<砂の盾>のため。
アルジェントは防御が薄いので、防具を変えたりしてこの辺を強化しました。
ジョシュア戦で実は結構ギリギリだったので。<シューティングクライシス>はオマケですな。
『レストの領域内では絶対命中以外は自動失敗』とか全く無いとは言い切れないので。

GM:前回の戦闘を踏まえ、レスト戦を想定しまくってる(笑)さすが!

フェンリル:クラスはヤマトを上げ、能力値は体力に入れたので合計でHPは10点上がったぜ。
固有結界の攻撃回数が増えるぜ。レベルアップにともない<睡蓮>の攻撃力も5点上がりましたから
固有結界はさらに強くなりましたよ。レスト戦では固有結界が重要らしいからね。
というわけで思いっきりレスト戦を想定したレベルアップをしています。
あ、これでレベルがアリスと並んだので、いつでもお前を眠らせられるぜ。ふっ、勝手な行動はさせぬぞ。

GM:アリスを眠らせるって(笑)

アリスは戦闘には参加しないがレベルだけが存在すると言うNPCであり
彼女の総合レベルは6と言うこの時、プレイヤーメンバーもアリスのレベルに追いつき
これによりアルジェントの眠りの技である「自分とレベルと同じかそれ以下の者を眠らせる」という
スキルが効果を発揮するようになったのである。

フェンリル:二章はアルジェントメインの話らしいからね。儂のストーリーを引っかき回させはしない。
もう、ルルーシュっぽく「お前は黙っていろ!」とか。

GM(アリス):「こて。zzzzz…」

ディゼル:俺はレベルアップで他のクラスで使えるのないかな〜って探してみたけど
レベル1だとそこまで役に立ちそうなのもなく、海鳴を攻撃、命中にできる特技があったなと思って
探そうとしたら海鳴も32でそこまで高いもんじゃなかったので断念して英雄者をレベル4に。
あとは折角お金がたんまりあったので、装備品をいい物に買い揃えて
地味に強化をさせて、堅実な成長をさせていこうと思います(笑)

サクス:僕はレベル6で行動値が16になったよ!(笑)
あ、マジックアイテムの購入許可が出たので光纏う剣を買って装備。
短所を伸ばすよりも、長所の攻撃と防御を上げました。下手に回避よりも防御重視で(笑)

GM:確かにサクスはそこまでいくとむしろ回避は完全に捨てて防御と攻撃重視にした方がいい(笑)
見事なまでの重戦士系だからね。

アルジェント:サクスは儂らの壁としての役割もあるからね。

GM:では、レベルアップ作業と成長報告も終えたようですし、そろそろ第二章に入りましょうか〜!

一同:よろしくお願いしまーす。


アヴェスター教会総本山。

一行は長い旅の果て、遂にその地へと辿り着く。
忌まわしき教団との決着をつけるために。

だがその地で一行を待っていたのは闇に隠されていた真実。

王の力を継承するために来たディゼル。
教団を破壊するために目的を持っていたアルジェント。
そして二人の護衛として共に最後まで来たサクス。

三人の目的を裏切る、第一騎士にして現指導者ラインより語られる事実。

“眠りの皇帝”
その真実が今、明かされる―――。

『エスペランサー・リプレイ
    眠りの皇帝
〜アヴェスター教会総本山編〜』



◆GMオープニング 〜教皇の息子〜
アヴェスター教会総本山――最深部、教皇の間。
その教皇の王座に座る一人の少年の前に二人の男が跪き報告をしていた。

「――以上が、アルレシオ公国での報告です。ライン様」

聖十騎士団の一人、第四騎士のクリストファーはそう目の前の指導者
ラインという名の少年へと報告を終える。

「そう、ご苦労だったね。クリストファー。
予定通り“彼”は無事にこっちに来ているんだね」

報告を受けたラインは笑みを浮かべクリストファーへと確認をする。

「はい、勿論。聖十騎士団の内、二人の騎士も“無事に”彼らの手によって始末されました」

「そっか、それは良かった」

クリストファーのその言葉を受け、ラインと呼ばれる少年は満足そうに微笑む。
このアヴェスター教会の最高幹部であり、彼にとっては同等の存在でもある聖十騎士団。
その二人が死んだことに対し、ラインと呼ばれる指導者は恐れるでも憤慨するのでもなく、
ただ満足気に微笑むだけだった。まるで“それが当初の計画通り”であるかのように。

「ただ…フェティに関しては行方が知れないらしいね?」

ラインが口にした疑問に対し、クリストファーは先程と変わらず落ち着き払ったな答えを返す。

「はい、あの戦いの後、第九騎士・フェティは姿を暗ましました。
どこへ消えたかは現時点では分かりませんが…すぐに居場所を突き止めます」

「うん。お願いするよ。見つけたら…容赦無く、始末していいからね。クリストファー」

「了解しました。ライン様」

ラインのその命令に対し、クリストファーはただ微笑を持って承諾をする。

「任せるよ、クリストファー。君達聖十騎士団は“そのために存在している”んだからね。
他の道なんてないもんね?ねぇ、レスト」

そうラインはクリストファーの隣にて跪くレストに同意を求めるように問いかける。

「………」

それに対し、レストは肯定するわけでも否定するわけでもなく、ただ目を伏せ黙っているだけだった。

「…まあ、いいさ。あぁ、早く来ないかなぁ……」

王座に座る少年は途端に王座より立ち上がり恍惚の笑みを浮かべ、天を見上げる。

「早く…早く…再会したいよ……もう準備は出来ているんだよ。
僕達のための最高の再会の場はここに出来ているんだよぉ……」

少年は自らの背後を振り返り、見上げる。
そこにあるのは巨大な十字架。
そして、その十字架に磔られている一人の少女の姿があった。

「はやく来ないと、折角のこれを…僕が壊しちゃうかもしれないよ…?
くくく…くく……あっはっはっはっはっはっはっ!!!」

ディゼル:ようやく姫の出番か?(笑)

十字架に磔られし少女、その少女はかつて滅び去った王国の女王。
フェザード王国女王・シアリー=ハルワーナ。

少女は磔られた十字架にてただ、静かに眠るように瞳を閉じていた。

◆GMオープニング終了

アルジェント:少年テメエ死刑(一同笑)

GM:アルジェント(笑)
それでは、次はそれぞれのPCのOPに行きますね。
まずはPC1のディゼル君からです〜。


◆PC1オープニング 〜想い出の夢・3年前〜
それは夢。
3年前の出来事をディゼルは夢で見ていた。

GM:そう、3年前。君は故郷にいた。
そこは熱砂の大陸・ムーヴェリアスにあって緑豊かな気候に恵まれた都市だった。
そして、いつものように穏やかな気候に恵まれ、朝日と共に君の一日が始まった。
朝。君はご飯を作り、母へとその料理を運んだ。
そして、そこで君は母から一つの指輪を受け取った。大事な指輪を。
母からの唯一の形見になるそれを。

ディゼル:ディゼルが死ぬところかしら(笑)

GM:そして、君は母から言われ約束を思い出す。
そう、エルムとリックとの約束。君はエルムと“リック”に会いに門へ向かう。
その瞬間。

―  ノイズ が 走る ―

GM:そう、君の頭の中に走るノイズ。
それは“その記憶は本当に正しいのか?”という警告。
君は正門に辿り着いた。そこにいたのは“エルムのみ”
「えぐっ…ディゼル〜!あぅぅ〜」
彼女は君を見て、すぐさま君に抱きつき泣きじゃくる。
話を聞くと彼女は急な引越しでこの街からいなくなるらしい。
だからこの街で“唯一”の幼馴染であり友達でもあった君に別れる前に挨拶をしたかったと言った。
君にとってもそれは同様だった。
君にはエルムが“唯一”の幼馴染であり、この街で同年代の友達だったから。

ディゼル:じゃあリックは…? その単純な疑問がディゼルの頭の中に湧く。
僕の記憶の中にいる“リック”とはいったい誰なんだ…?
僕とともに故郷が滅びるのを見、そしてともにあの街に行き
最後に…僕の目の前で死んだあの”僕の友人”は…?

GM:そう――君は思い出す。
記憶の違和感。存在しないものを存在したと認識していた誤りに。
その隣にいるべき友・リックはいない。

いや、違う。
そもそもこの街、君の故郷には“リックなどと言う人物は存在してなかった”

GM:君はエルムと共に街の外に出る。
彼女を見送るために、彼女との最後の別れのために。
彼女との別れを済ませた君は、街へと戻る。記憶の中では――戻った街は燃えていた。

だが、そうではなかったとしたら?
君は“無事に”街まで戻ってきていたとしたら。

GM:そこには見慣れた街が広がっていた。
そして君はそこで一人の青年に声をかけられた。
「…ねぇ、ちょっといいかな?」
その青年は、不思議な雰囲気を纏った人物だった。

ディゼル:「あ、はい。なんでしょうか?」
見慣れない顔だったのできっと旅人だろう、不思議な感じがするのは
旅を続けてきた人の経験からくるものなのだろう。
その青年が何を聞きたいのかに耳を傾けた…のだろう。

GM:青い髪をした長身の美しい顔立ちの青年。
微笑を浮かべた彼は一見すると憂いを秘めた温和そうな人物に見える。
だからこそ、君は彼と話した。
だが、それが全ての過ちの始まりだった。
「ええ、実は人を探しているんです。僕の昔の知り合いなんですけど…」
一句きり置き
「――――さんってご存知ではありませんか?」
青年が言った名前には君はこれ以上ないほどの聞き覚えがあった。
それもそうだ。青年が言った名前は君の母親の名前なのだから。

ディゼル:「え?あぁ、母さんの知り合いのかただったんですね」
急に身内の名前が出て驚いてしまったが、別におかしいところはない。
母さんが若かった頃の友人がこの近くに寄ったので懐かしくなって
顔を見に来たというのかもしれない。
「母さんに何か用事で?」
特に何か考えてたわけじゃないが何気なく聞き返していた…ハズだ。

GM(???):「ああ、なるほど。貴方はご子息さんだったのですか。道理で…。
いえ、実は貴方のお母さんに直接伝えないといけない事がありまして。
その、ご迷惑でなければ家までご案内できないでしょうか?」
真摯な態度を持って青年は君にそう言う。
それは不思議と君の心の奥に伝わってくるものがあった。

ディゼル:あぁ、そうだ…。あの日は母さんがいつもより調子が良かったから
悪いことはないだろう、ましてや知り合いならば
少しは病気のことも忘れられることができるだろう、と彼を家まで案内した…。

GM:そう――君は思い出していく。塗りつぶした記憶を剥ぐように、真実を。
君に案内され、青年は君と共に君の家に来た。
そして、玄関を開けるとそこには君を向かえるために
この日、体調が良かった母親が紅茶の準備をしていた。
「あ、ディゼル。帰って来たの…」

ディゼル:「あ、母さん、ただい――」

GM:母親がゆっくり君の方を振り返るが、その瞬間に瞳を大きく開ける。
この時、母が見ていたのは君では無く――君のすぐ後ろにいる青年だった。
「……ど、どうして…ここが……?」
震える声を必死で抑えるように母は君の背後にいる青年を見て、呟く。

ディゼル:「母さん…?どうしたの?」
何も知らない自分はその時、母の顔を見て
そんなことしか言えなかったんだっけ…。

GM(???):「お久しぶりです。こんな場所に留まって逃げられると思ったんですか?
終わったと思ったんですか?“彼”との“契約”が」
青年は君の背後に立ち、君の両肩にそっと手を置いた。
「そんなわけが無いじゃないですか。貴方は役目を果たさないといけない。
だから、こんな幸せを得ては――いけないんですよ」

ディゼル:「……え?」

GM(母親):「?!や、やめて―――!!!」
母の絶叫が木霊する。それと同時に君は口から血を吐いていた。
そう、君の背後から青年の腕が君の胸を貫いていた。

ディゼル:なんだよ…これ…。
訳もわからずにその場に倒れる――。

GM(母親):「ッ!ディゼル―――!!!」
母が倒れる君を見て、駆け寄ろうとする。
その母に対し、青年が近寄り、そして――

そこで君の意識は飛んだ。

◆    ◆    ◆

GM:次に君が見た景色は燃える故郷。
君は地面に倒れたまま、燃える故郷を見ていた。
惨殺された住民達が炎に包まれ焼き焦がされていく風景を。
そのぽっかりと穴が空いた身体で見ていた。
「…参ったなぁ…誤って殺してしまったよ」
そんな中、薄れいく意識の中で君は声を聞いていた。
「彼女の方はもう処置したけど…これはどうしようかな…」
そう言って、青年は頭を掴み目を合わせ顔を確認する。

ディゼル:「ふざ…けるあ…グッ」
”誤って”だと?!
叫びたいが口の中の血が邪魔をする。

GM(???):「まあ“彼”が言うにはこれにはまだ使い道も役目もあるらしいしね…。
大丈夫だよ、安心していいよ、ディゼル。君にはまだ“役割”があるから」
微笑を浮かべて、青年は君を見ていた。


ディゼル:その言葉を言ったあと、ディゼルの意識が遠のく…。
自分の顔をのぞいているであろう青年の顔の輪郭も
それに伴ってぼやけ、視界が暗くなる―――

――こうしてディゼルは死を迎えた

ディゼル:(-完-)

GM:や、まだ勝手に終わらせるな(笑)
…そう、君の意識はそこで死んだ。
だが、死した君を見ていた青年は静かに宣言していた。
それは誰にも聞かれることの無かった青年のみが知る真実の一言。

「ディゼル。君は僕が使ってあげるから」

◆    ◆    ◆

GM:そして、その後の君はムーヴェリアス大陸の都市トルギスへといた。
“親友”のリックと共にあの故郷の壊滅から逃れて。
だが、真実はそうではなかった。
故郷の都市で生き残った者は一人もいない、その都市は地図から消えた、抹消された都市。
君の中でそうだと信じていたものが崩れていく。

そして――君の夢は覚める。

◆PC1オープニング終了

ディゼル:ほへー(笑)

アルジェント:うおお、まさかリックが無視されていたのが伏線だったとは。

GM:その通りさ!決してネタなどではなかったのさ!(一同笑)
なので、あの時のエルムの発言は「リックがいないくて当然」の発言だったのです。

ディゼル:リックも人形なのね(笑)

GM:では次はPC2、アルジェントのOPです!いいですか〜?

アルジェント:はーい。


 
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